筑後川と脊振山に挟まれた、肉の町
神埼市は佐賀県の東部、筑後川北岸の平野に南北に細長く広がる町だ。南は佐賀平野の穀倉地帯、北へ向かうと脊振山地へ入っていく。この地形が、町の産業を二つに分ける。平野部では米とアスパラガス、そして黒毛和牛。山間部では水と林業。私はこの町を『川と山に育てられた、素朴な肉の産地』と見ている。
返礼品の中心は佐賀牛だ。九州の黒毛和牛の中でも、この地域の牛は赤身が際立つ。脂の乗り方が穏やかで、肉そのものの味わいが前に出る。それは、筑後川沿いの良質な水と、平野の飼料に支えられた特性だ。
家の食卓に、肉の本質を
佐賀牛の肩ロースは、焼肉にも、すき焼きにも、しゃぶしゃぶにも向く厚さと質感だ。500グラムという量は、家族四人の晩酌に、ちょうど良い。

届いた肉を冷蔵庫から出すと、赤身の色が濃い。脂肪が白く筋状に入っているが、全体を覆うほどではない。焼肉のタレに頼らず、塩と黒こしょうで十分だ。火を通すと、赤身の甘みが立ち上る。肉汁が流れ出すのではなく、繊維に閉じ込められた旨味が、ゆっくり口の中で解放される。そういう食べ方ができる肉だ。
すき焼きにするなら、割り下は薄めに。肉の味を消さないためだ。白菜や豆腐と一緒に煮ると、肉の香りが野菜に移り、全体が一つの料理になる。翌日、残った割り下でうどんを煮ると、それもまた良い。
他の返礼品との組み合わせ
さがびよりは、この町の米だ。特A受賞の品種で、粒が立ち、冷めても硬くならない。肉を食べた夜の翌朝、このご飯があると、朝食が引き締まる。

佐賀牛のしゃぶしゃぶ・すき焼きセットは、肩ロースより脂が乗った部位だ。冬の鍋の季節に、家族が集まる時に。肩ロースとの食べ比べで、同じ牛でも部位による味わいの違いが見える。
すね肉のブロックは、煮込み向きだ。時間をかけて火を通すと、赤身の深い味わいが出汁になる。冬の夜、圧力鍋で柔らかく仕上げたすね肉は、家の食卓を温める。
季節と保存
肩ロースは、届いたら冷蔵で三日以内に使うのが目安だ。冷凍も可能だが、赤身の肉は冷凍による劣化が少ない。一週間程度なら品質を保つ。ただし、この肉は新鮮なうちに食べることで、その本質が伝わる。焦らず、計画的に食卓に上げることが、返礼品を活かす秘訣だ。
神埼市の佐賀牛は、派手さより誠実さを持つ肉だ。毎日の食卓に、無理なく溶け込む。それが、この町の肉の特徴であり、強みでもある。
