高度1000メートルの朝、霧が引く
津野町に入ると、すぐに気づく。町全体が山の中腹にある。四万十川の源流点・不入山を背に、天狗高原・五段高原といった四国カルストの台地が町を取り囲んでいる。朝晩の寒暖差が大きく、霧が出やすい。その霧こそが、この町の茶を育てた。
星ふるヴィレッジTENGUの宿泊は、その地形の中心に立つ。天狗高原の高さに建つ宿だから、朝目覚めると、眼下に霧が溜まった谷が見える。その霧の中に、津野山茶の茶畑がある。1泊2食付きで、源流の清流を仕込み水にした地の食事が出される。

夜は星が近い。昼間に見た茶畑の斜面が、夜間には消える。残るのは、高度と暗さだけ。この町が森林セラピー基地に認定されたのは、そうした地形と気候が、人の身体に何かをもたらすからだろう。
源流の水で仕込んだ、土地の酒
同じ源流の水を使った返礼品に、農家民宿竹城のどぶろくがある。四万十川の源流点から流れ出た水で仕込まれた、濁り酒だ。宿泊で見た朝霧の中の茶畑、その水脈の先にある清流が、この酒の素になっている。

津野町の産業は農業と林業。茶と、その茶を育てた山の恵みが、町の暮らしを支えている。宿泊で一晩過ごし、朝に霧の中の風景を見て、帰路に源流の酒を手にする。それは、この町の地形と生業が、一本の線でつながっていることを感じさせる。
