標高350メートルの台地が育てる肉質
世羅町は広島県のほぼ中央、標高350~450メートルの「世羅台地」に位置している。この高さは、瀬戸内海に流れる芦田川と日本海に流れる江の川の分水嶺でもある。つまり、この町の雨水は二つの海へ分かれて流れていく。そうした地形が、この町の農業を形作ってきた。
世羅みのり牛は、そうした台地で育った牛肉だ。寄付すると届くのは肩ロースのスライス。すき焼きの鍋に入れる時、肉の色合いと厚さを見ると、この町の飼育環境がどうだったかが少し想像できる。台地の涼しさと日照の安定性は、家畜にとっても穏やかな条件だ。冷凍で届くので、食べたい時に解凍して、晩酌の卓に並べる。肉の脂が鍋の出汁に溶けていく様子は、毎回同じようでいて、季節や気分で違う表情を見せる。

梨とぶどう—台地の果実の季節感
この町は「マツタケ、梨、トマト、米など農産物の一大生産地」として知られている。特に梨は、世羅の代表的な産物だ。ただ、返礼品として届くのは、カナダ人農園主が育てたクイーンセブンというぶどう。皮ごと食べられる品種で、約1キロ、3~5房が届く。先行予約・数量限定という条件は、この町の農業が季節と生産量に真摯に向き合っていることを示している。

台地の気候は「降雪や台風等の災害も比較的少なく、日照量も安定している」。そうした条件下で育つ果実は、甘さが一定ではなく、その年の日照と降水のバランスを反映する。届いたぶどうを房から粒を取り、口に入れる時、その年の世羅の夏がどうだったかが、ほのかに伝わってくる。

農業の手仕事が見える町
この町は「6次産業化の進んだ町として有名」で、観光農園や農作物の販売所が多い。つまり、作り手たちが自分たちの産物をどう食べてほしいか、どう保存すべきか、どの季節に旬を迎えるかを、消費者に直接伝える文化がある。返礼品として届く肉も果実も、そうした背景を持っている。台地の高さ、季節の移ろい、作り手の選択—それらが一つの箱に詰まって、家の食卓に着地する。