盆地の朝冷えが、米の芯をつくる
三田盆地は、古くから人が暮らした土地だ。旧石器時代の遺跡が語るように、この地形は水と土に恵まれていた。いまも市の北部・東部は山々に囲まれ、武庫川や青野川が流れ、千丈寺湖や福島大池といった水源が点在している。冬場には「近畿のシベリア」と揶揄されるほど冷え込む気候も、実は米作りの味方だ。明け方の冷涼さが、稲の登熟を緩やかにし、粒の中身を詰まらせる。
1980年代から北摂三田ニュータウンの開発で急速に都市化した三田だが、市街地の周辺には今も田が残っている。かつての農村風景は薄れても、この盆地の気候と水系は変わらない。三田のコシヒカリは、そうした風土の産物だ。

家の炊飯器で、盆地の手当てが活きる
届いた米を開けると、粒がそろっている。これは冷涼な登熟環境で、粒ぞろいが揃いやすいからだ。炊くときは、水加減をやや少なめにするといい。粒感が立ち、一粒一粒の甘みが口に残る。朝の白飯、昼の弁当、夜の定食——毎日の食卓で、この米の芯の詰まり具合が活きる。
三田は大阪・神戸への通勤圏だが、同時に農業の営みも続く町だ。その両立の中で、この米は作られている。寄付を通じて、盆地の米作りを支えることは、三田という町の二つの顔——都市と農村——を一緒に応援することになる。
