塩の町が、なぜ牛肉か
赤穂といえば塩だ。江戸時代から続く揚浜式・入浜式・流下式の塩田が、この町の産業を支えてきた。瀬戸内海式気候の晴天が多い土地、千種川からの豊かな水系——塩を作るための条件が、実は畜産にも深く関わっている。
私がこの町を見ていて気づくのは、『塩の町』という単純な括りでは足りないということだ。赤穂は水の町でもある。名水百選に選ばれた千種川、江戸時代に敷設された赤穂上水(日本三大上水道の一つ)、そして現在でも国内で最も安い水道料金——水に恵まれた土地だからこそ、良い塩が生まれ、良い牛も育つ。
兵庫県産黒毛和牛のすき焼き用バラ肉は、その水と気候の恩恵を受けた肉だ。薄切りに仕上げられた肉は、すき焼きの鍋に落とした瞬間、塩辛い割り下と出会う。赤穂の塩で味付けされた鍋に、赤穂の水で育った牛肉が溶ける——この町の産業と風土が、食卓で一つになる瞬間である。

家の鍋に、季節を重ねる
届いた肉は、冷凍で保存できる。500gか1kgか、家族の人数と季節に合わせて選べるのは実用的だ。冬の晩酌に、秋口の集まりに、肉を解凍して鍋を囲む。薄切りだから火の通りも早く、手間がない。

赤穂の塩を少し多めに割り下に溶かして、野菜と一緒に煮込む。肉の脂が塩辛い汁に溶け込み、白菜や長ねぎの甘みと交わる。この町で何百年も塩を作ってきた人たちの手仕事が、今夜の食卓に届いている——そういう実感を持ちながら食べることができる返礼品だ。
赤穂は忠臣蔵の町として知られるが、その歴史の背景にあるのは、塩田で働く人たちの生活であり、水に恵まれた土地の営みである。この肉を選ぶことは、そうした町の基層にある産業と風土を、自分の家の食卓に招き入れることなのだ。