宮水という、この土地の贈り物
西宮の台所に届く酒を選ぶなら、まずこの町がなぜ酒の町なのかを知る必要がある。
大阪と神戸の中間、阪神間に位置するこの町には、「宮水」と呼ばれる硬水が湧く。ミネラル分が豊富で、酵母の働きを活発にするリン、カリウム、カルシウムが多く、酒造りに悪い鉄分は少ない——江戸時代、この水の発見が西宮の酒造りを本格化させた。室町時代には既に西宮の酒は都で知られていたが、宮水があってこそ、樽廻船で江戸まで運ばれるほどの品質が生まれたのだ。
現在、西宮市内には12の酒蔵が沿岸部に点在し、灘五郷の一角を担っている。その酒たちは、丹波杜氏の手と、この水と、山田錦という米によって、「男酒」と呼ばれる荒々しい香りと舌触りを持つ。晩酌の盃に注ぐとき、あなたの手には江戸から続く水と技が届く。
白鷹の特別純米酒は、その宮水で仕込まれた一本。1.8L×2本の組み合わせは、冬の夜長に、あるいは季節の変わり目に、飲み比べる余裕をくれる。冷やでも、ぬる燗でも、その土地の水が醸した香りが立つ。

台所に根ざした、もう一つの西宮
この町の返礼品には、酒だけではない。精肉専門店の黒毛和牛切り落としは、A4以上の肉を1kg(500g×2パック)で届ける。すき焼きの鍋に、あるいは牛丼の具に。肉の質感が活きる調理法を選べる量感だ。

韓国料理専門店の冷凍スンドゥブは、自家製の純豆腐を使った2食セット。豚キムと海の幸の二種類が入り、冷凍のまま鍋に入れて温めるだけで、専門店の味が家の食卓に着地する。保存も効き、急な来客や、一人の夜の食事にも対応できる実用性がある。

西宮は、大阪と神戸の間で、両都市の文化を吸収しながら独自の食卓を作ってきた町だ。酒蔵の歴史は深いが、その酒を囲む食べ方は、この地域全体の暮らしの中にある。
