塩尻は、ぶどうの町だ
松本盆地の南端。太平洋と日本海を結ぶ交通の要衝として、古くから塩が行き交った土地。その地形は扇状地で、東西18キロ、南北38キロ。奈良井川や田川が流れ、水に恵まれている。
私がこの町を見ると、まず思うのは「選別の地」だ。かつて塩売りがこの辺りで品切れになったという伝説も、塩が両側から運ばれてきて合流する終点だという説も、どちらも「ここで何かが決まる場所」を指している。江戸時代には中山道や北国西街道の宿場町として栄え、明治には鉄道の分岐点となった。今も中央本線、中央東線、篠ノ井線が集約し、国道19号、20号、153号が交わる。
そうした交通網の中で、この町は何を選んだか。ぶどうだ。
野菜と果樹の生産団地を形成する都市近郊型農業の中で、ぶどうは塩尻の顔になった。レタスなどの高原野菜も作られるが、秋になると、ぶどうの季節が町全体を占める。シャインマスカット、ナガノパープル。ヨーロッパ系品種の栽培も増えている。そしてワイン。明治時代から続く醸造の伝統が、今も市内の複数の醸造所で海外のコンテストを受賞するほどの品質を生み出している。
秋、シャインマスカットが家に届く
シャインマスカット 2房は、9月下旬から11月にかけて順次発送される。

届いた時、房はまだ冷たい。箱を開けると、粒の透明感が目に入る。シャインマスカットは種がなく、皮ごと食べられる。だから、水で軽く洗ったら、そのままかじることができる。

秋の夜長、テーブルに置いて、一粒ずつ摘んで食べる。甘さと酸味のバランスが、その日の気温や湿度で微妙に変わる。冷蔵庫から出したばかりの粒は、歯を立てると果汁が溢れる。常温に少し戻した粒は、甘みが深くなる。
塩尻の扇状地は、昼夜の気温差が大きい。その気候が、ぶどうの糖度を高める。水はけの良い土壌も、根を深く張らせ、ミネラルを吸収させる。こうした風土が、粒の一つひとつに詰まっている。
房全体を食べ終わるまで、1週間から10日。冷蔵室の野菜室に入れておけば、その間、毎日が秋の手当てになる。
ぶどうの町の、他の選択肢
ナガノパープル 2房も、同じ季節に届く。こちらは9月上旬以降の発送。シャインマスカットより早く、秋の入口で食べることになる。ナガノパープルは種があり、皮は少し厚めだが、その分、香りが濃い。黒紫色の粒は、見た目の重厚さとは違い、果肉は柔らかく、甘い。

有機肥料栽培のシャインマスカットは、単品またはセットで選べる。10月上旬頃の発送。有機肥料で育てられたぶどうは、化学肥料のものとは土の状態が異なり、ミネラルバランスが変わる。その違いを、粒の甘さや香りで感じることができる。
そして、ドメーヌコーセイのメルロ 2本セット。赤ワインとロゼワイン。塩尻で育ったぶどうが、醸造所で時間をかけて別の形になったもの。秋のぶどうを食べた後、冬の晩酌で、同じ土地の別の表情に出会う。
塩尻の台所へ
この町に寄付すると、秋から冬にかけて、ぶどうが家に届く。それは単なる果物ではなく、松本盆地の南端で、交通の要衝として選別されてきた土地が、最終的に選んだ産物だ。
扇状地の水はけ、昼夜の気温差、ミネラル豊かな土。そうした風土が、粒の一つひとつに詰まっている。秋の夜長、テーブルに置いて、毎日が季節の手当てになる。それが、塩尻のぶどうだ。