盆地の気候が育てる、季節ごとの濃さ
飯田は長野県の南部、伊那谷を流れる天竜川沿いの盆地にある。南アルプスと中央アルプスに挟まれたこの地形が、果実を育てる。冬は-10℃を下回る冷え込みがあり、夏の昼間は気温が上がる。年間の寒暖差が大きく、降雪量は県内の他地域より少ない。こうした気候条件が、果実に濃い味わいをもたらす。
南信州の旬のフルーツ定期便は、その季節ごとに飯田の農園から届く。春から秋にかけて、桃・梨・りんごが順番に家に着く。定期便だから、毎月の楽しみが変わる。冷蔵庫に入った時の重さ、切った時の香り、食べた時の甘さの質感——季節の移ろいを、台所で感じることになる。

飯田の果樹栽培は、江戸時代の城下町から続く土地の営みだ。1947年の大火後、防火帯として植えられたりんご並木は、今も市街地を彩る。その並木の下で育つ果実たちが、定期便で届く。

市田柿の手仕事、新しい形で
市田柿のミルフィーユも、この地の果実文化を映している。市田柿は飯田の特産で、干し柿の一種。カルピスバターを合わせた菓子は、伝統の柿を新しい食べ方で家に迎える形だ。冬の午後、紅茶と一緒に食べるのもいい。柿の甘さとバターの塩気が、口の中で静かに溶ける。

