若狭湾の朝、イカが揚がる
福井県の西端、若狭町は若狭湾に面したリアス式海岸の町だ。三方五湖を抱え、鯖街道で京都と結ばれた歴史を持つこの土地は、古くから「御食国」と呼ばれた。食べ物の宝庫。その名残は今も、毎朝の漁で息づいている。
私がこの町を見るとき、思うのは「距離の近さ」だ。山が低く、海が身近で、湖が町を抱く。そうした地形の中で、人々の食べ方も、季節の手当ても、自然と地続きになっている。冬の豪雪地帯でありながら、海からは年中、新しい魚が上がる。その矛盾と共存が、若狭の食卓を作ってきた。
朝どれアオリイカ、下処理なしで届く理由
朝どれアオリイカを推す理由は、シンプルだ。これは「若狭湾産」という産地名ではなく、「朝どれ」という時間軸を売っている。3~8杯、下処理なしで届く。

下処理なしというのは、実は大事な選択だ。イカの墨袋を自分で取る手間は、新鮮さの証でもある。冷凍で届いたイカを解凍し、流水で墨を落とし、足を広げて、わたを取る。その手の感覚で、このイカがいつ揚がったのか、どれだけ活きが良かったのかが伝わる。
若狭の台所では、イカは刺身、塩辛、炒め物、煮込みと、季節と気分で姿を変える。春先なら、柔らかい足を塩漬けにして、ご飯の友に。秋口なら、身を厚めに切って、醤油とわさびで。冬は、胴体を輪切りにして、大根おろしと一緒に煮る。一杯のイカが、何日分の食卓を支える。
鮮魚セット、季節の顔ぶれで選ぶ
若狭の恵み鮮魚ボックスは、種類がお任せという点が良い。これは「今、何が揚がっているか」を漁師に委ねるということだ。春は白魚や小鯛、夏はアジやイサキ、秋冬はクエやメバルが混じる。

毎月、同じ魚が届くわけではない。その月の海が、何を用意しているかで決まる。そうした不確定性の中で、台所は工夫を重ねる。塩焼きで良い魚もあれば、煮付けが活きる魚もある。届いた箱を開けて初めて、その晩の献立が決まる。そういう食べ方が、若狭の海沿いの家では当たり前だった。
米と梅酒で、季節を整える
若狭町の食卓は、海だけでは成り立たない。三方五湖の周囲に広がる梅畑から、若狭梅酒が生まれる。福井県産の紅映梅を使った本格梅酒は、夏の晩酌に、冬の湯割りに、季節を問わず家に置いておく酒だ。
米も同じ。令和8年産の新米コシヒカリは、毎年の楽しみだ。若狭の水は、北川や鳥羽川から流れ込む。その水で育った米は、粒が立ち、冷めても硬くならない。朝どれのイカを塩辛にして、ご飯と一緒に食べる。そういう組み合わせが、この町の食べ方だ。
若狭町への寄付は、遠く離れた食卓に、この町の「今」を届けることだ。季節ごとに変わる海の顔ぶれ、毎年新しい米、梅の季節の仕込み。そうした営みの中に、あなたの食べ方も組み込まれる。
