九頭竜川が育てた米と酒
永平寺町は、九頭竜川が東から西へ流れ落ちる沿岸に細長く広がっている。勝山盆地から福井平野へ向かう川の流れに沿って、上志比、永平寺、松岡の三地区が連なる。この川が、町の食卓の根底にある。
1244年に道元が永平寺を建立して以来、この町は門前町として歩んできた。江戸時代には参詣の宿場として栄え、今も永平寺への参道は町の背骨だ。しかし私が注目するのは、その背後にある農業と醸造の営みである。九頭竜川の水系が支える水田、そしてそこで育つ米。その米を仕込む地酒の蔵元たちだ。
推し一品は、越前岬の槽搾り純米。永平寺町産の復活米「九頭竜」を使った日本酒である。「復活米」という名前が示すように、この米は一度は作られなくなった品種を、町が意識的に蘇らせたものだ。九頭竜川の名を冠した米が、地元の蔵で酒になる。この循環こそが、永平寺町の食文化の本質だと私は考える。

槽搾りは、酒袋に詰めた醪を木製の槽に並べ、自重で落ちる酒だけを集める古い手法だ。手間がかかり、出来高も限られる。だからこそ、その一杯には町の水と米と職人の時間が詰まっている。晩酌の盃に注ぐとき、九頭竜川の流れを思い出す。そういう酒である。
無農薬の米、地酒の組み合わせ
同じく米に関わる返礼品として、永平寺町産のれんげ米がある。農薬不使用、化学肥料不使用で育てられた白米だ。5キロという量は、家族の食卓に毎日届く米として現実的だ。届いた米を研ぎ、炊く。その白さと香りが、地酒の相棒になる。

もう一つ、永平寺白龍のドラゴンウォーターも町の酒蔵の仕事を示している。地酒は、その土地の水と米と人の手がなければ存在しない。永平寺町には黒龍酒造と吉田酒造という二つの蔵がある。どちらも、この町の水で、この町の米で、世代を重ねて酒を造り続けている。
寄付して返礼品が届いたとき、あなたの食卓は永平寺町の九頭竜川沿いとつながる。米を炊き、酒を注ぐ。その行為が、門前町の奥にある農業と醸造の営みを支える。ふるさと納税とは、そういう距離感の中にあるべきだと私は思う。
