山の水が米を育てる
中能登町は能登半島の中ほど、石動山を最高峰とする山々に囲まれた町だ。長曽川、二宮川といった河川が町を流れ、その水が田を潤す。私はこの町を『山と水の間にある米どころ』と見ている。
能登米コシヒカリは、その地形が生んだ米だ。5kg×4袋、計20kgという量は、一人暮らしなら数ヶ月分、家族なら1ヶ月半ほど。届いた時点で、米びつに移すか、冷蔵庫の野菜室に立てて保存するか、家の台所の現実に合わせて置き場を決める。

炊く時の水加減は、その米の吸水性で少し変わる。能登の米は、山からの清水で育つため、粒がしっかりしている。水は気持ち少なめ、火加減は中火でゆっくり。朝、炊飯器のスイッチを入れると、30分後には白い湯気が立ち上る。その香りは、毎日の朝食の始まりを告げる。
毎日の食卓に、季節を重ねる
米は、野菜や魚、味噌汁の脇役ではなく、その日の食べ方を決める主役だ。春は新玉ねぎと塩辛い漬物で、夏は冷や飯にして梅干しと一緒に、秋は栗ご飯に、冬は温かいままで。20kgあれば、季節ごとに米の食べ方を変えながら、ゆっくり消費できる。

能登の米は、そうした『毎日の手当て』に応える粒の立ち方をしている。炊きたてはもちろん、冷めても硬くなりにくく、おにぎりにしても握りやすい。この町の古い遺跡からは、弥生時代のおにぎりの化石が出土している。千年以上前から、この土地の人たちは米を握り、食べてきた。その歴史の上に、今の米がある。
