能登半島の先端で、牛が育つ理由
珠洲市は石川県の北東部、能登半島の最先端にある。人口は今、急速に減っている。2024年の地震で壊滅的な被害を受け、その後の復興の途上にある町だ。だからこそ、この町の返礼品を選ぶことは、単なる食べ物の交換ではなく、その土地の営みを支える行為になる。
珠洲の産業は、古くから海と山に根ざしている。中世には珠洲焼という陶器が栄え、江戸時代には揚浜式製塩で知られた。そして今、この町を代表する食べ物のひとつが能登牛だ。

能登牛は、能登地方全体で飼育される地域ブランド牛。珠洲を含む奥能登の冷涼な気候、そして地元の飼料と丁寧な飼育が、肉の質を作る。すき焼き用に仕上げられた500gは、家族4人の晩酌の時間にちょうどいい量だ。
冬の食卓に、牛肉を置く
届いた能登牛を、冬の夜に火にかける。すき焼きの鍋に、白菜や豆腐、ねぎを敷いて、その上に肉を広げる。脂が溶けて、醤油と砂糖の香りが立ち上る。この瞬間、台所は一つの儀式になる。
能登牛のすき焼き用は、霜降りが細かく入った部位が選ばれている。火が通ると、その脂が野菜に染み込み、肉自体も柔らかく仕上がる。一枚一枚を箸でつまんで、卵にくぐらせて食べる。この食べ方は、日本の冬の食卓の原型だ。
珠洲の冬は、日本海側の特性そのままに、降雪が多い。そういう季節だからこそ、温かい鍋を囲む時間が、家族の絆を作る。能登牛は、その時間の主役になる食べ物だ。
他の選択肢も、同じ町の営み
珠洲の返礼品には、能登牛のすき焼き用1kgや、肩ロースの焼肉用もある。焼肉用は、より濃い味わいを求める食べ方に向いている。また、奥能登粟津のお米は、この町で育つ能登ひかりという品種。米と牛肉を組み合わせれば、珠洲の食卓がより完成する。

どれを選ぶにせよ、それは珠洲という町の、今を支える選択になる。地震から立ち直ろうとしている町の、農業と畜産の営みに、直接つながる寄付だ。
