水と土地が肉を作る
大井町は、神奈川県の南西部。酒匂川が西の端を流れ、その分水である酒匂堰が町の中央を走る。この水が潤す平地は水田地帯だ。町域の10%、耕地面積の3割以上が水田という、水に恵まれた土地。北東から南西へ、菊川も流れ込み、二つの水が合流して小田原へ向かう。
その一方で、北東部から東部には大磯丘陵が連なり、その終端がこの町だ。丘陵地ではみかんやくり、うめといった果樹が育つ。平地と丘陵、水と土。この二つの顔を持つ町で、足柄牛の切り落としは育つ。

台所に届く、焼く・煮る・重ねる
500グラムの切り落とし。焼肉にもしゃぶしゃぶにも使える厚さと形だ。届いた時点で、すでに食べ方が見える。
秋口、家族で焼肉をする時。冷蔵庫から出して、常温に戻す間に、野菜を切る。玉ねぎ、ピーマン、もやし。肉を広げて、火にかけた鉄板に置く。脂が音を立てる。その香りが台所に満ちる瞬間。
あるいは冬。鍋の季節。昆布だしを引いた鍋に、肉を一枚ずつ重ねて入れる。白菜、春菊、豆腐。肉の色が変わるまで、ほんの数秒。ポン酢に薬味を混ぜて、食べる。肉の甘みが、だしの中で引き立つ。
切り落としだからこそ、形を気にせず使える。焼肉のタレに漬け込んで、翌日のお弁当に入れることもできる。冷凍庫に入れておけば、平日の夜、急に肉が食べたくなった時の頼りになる。
この町の水と土が育てた肉が、家の食卓に着地する。それが、寄付の先にある。
