利根川の水が、ビール工場を選んだ
取手市は、東京から40キロメートル圏内にありながら、利根川と小貝川に挟まれた関東平野の要衝だ。江戸時代には水戸街道の宿場町として栄え、水運の拠点でもあった。その地形と水資源が、いまもこの町の産業を形作っている。
キリンビール取手工場は、その立地を最大限に活かした施設だ。良質な水——それは醸造に欠かせない資源——が豊富にあり、鉄道網も整備されている。1970年の市制施行から、この町がベッドタウンとして急速に成長する過程で、工場もまた地域の雇用と産業を支えてきた。
取手工場産の一番搾りホワイトビールは、その工場で日々醸造される。500ミリリットル缶24本。帰宅後、冷蔵庫から取り出して、グラスに注ぐ。白ビールの淡い色合いと、小麦由来の柔らかな香りが、東京への通勤で疲れた体を緩める。毎晩の儀式として、この町で作られたビールが食卓に着地する。

選ぶ楽しみ、続ける理由
取手市の返礼品は、すべてこの工場産だ。ハートランドビール、一番搾り糖質ゼロ——銘柄や内容量を選べる仕組みになっている。

寄付者は、自分の晩酌の習慣に合わせて品を選ぶ。毎晩飲む人は24本ケース、週末だけの人は少量、糖質が気になる人は別の銘柄。その選択肢の存在が、返礼品を「もらったもの」から「自分で選んだ相棒」に変える。
利根川沿いの工場で、毎日、この町のビールが作られている。それが家に届き、食卓に並ぶ。ベッドタウンとしての取手の日常は、そうした「身近な工業」と「帰宅後の時間」が重なる場所なのだ。