古代の金が眠った土地で、今は米を作る
涌谷町は奈良時代、日本で初めて金を産出した土地だ。天平21年、その金は聖武天皇に献上され、東大寺の大仏に当てられたという。町の中央に箟岳山がそびえ、周囲は江合川や迫川が流れる平野。古代から人が手を入れ、水を引き、稲を植えてきた地形である。
今、この町の返礼品の中心は米だ。いとうファームが作るササニシキは、宮城を代表する品種。粒が小ぶりで、炊くと粘りが控えめ。冷めても硬くならず、握り飯や弁当に向く米として、昭和の食卓を支えた。今も作り手は少なく、この町で丁寧に育てられている。

届いた米を研ぐ時、水が澄んでいることに気づく。この町の水は、山と川に恵まれた土地の恵みだ。炊飯器の蓋を開けた時の湯気、一粒一粒の立ち方。毎日の食卓に、古い時代から続く土地の営みが着地する。
定期便で、季節の米を重ねる
同じいとうファームのひとめぼれは、粘りが強く、おかずを選ばない。定期便で届く仕組みなら、秋の新米から冬、春へと、その時々の米を食べ続けられる。米は生鮮食品。産地で育った季節を、家の食卓で追体験する喜びがある。

涌谷町の農業は、近年ほうれん草や小ネギの栽培でも知られるが、米はこの町の基盤だ。箟岳山の麓、川沿いの平野で、古代から現在まで続く営みを、毎日の飯として受け取る。それが、この町への寄付の返礼品が米である理由だと思う。