蔵王の米は、冬が育てる
蔵王町の台所に立つと、季節の厳しさが米粒に映っていることに気づく。宮城県の南部、蔵王連峰の東麓に位置するこの町は、冬季に-10℃を下回る気温が観測される豪雪地帯だ。年間降水量も1343.9mmと多く、春から秋にかけて雨と雪解け水が白石川を通じて田園地帯を潤す。その厳しい気候条件が、実は米の品質を決める。
蔵王産ひとめぼれは、こうした風土の中で育つ。ひとめぼれは宮城県を代表する品種で、粒が揃い、炊いた時の香りと甘みが特徴だ。蔵王の米は、冬の寒冷期に根をしっかり張り、春から初夏の日照時間(年平均1756.3時間)を活かして成長する。届いた米を開けると、粒の透明感が目に入る。これは、昼夜の気温差が大きい環境で、デンプンが効率よく蓄積された証だ。

炊く時は、水加減をやや少なめにするといい。粒がしっかりしているので、通常より水を10%程度減らすと、一粒一粒の食感が活きる。朝食の白いご飯として、あるいは夜の味噌汁の相棒として、毎日の食卓に着地する米だ。冷めても硬くなりにくいので、おにぎりにしても翌日まで風味が残る。
梨とツルムラサキ、町の農業の顔
蔵王町の農業は米だけではない。つや姫という別の品種も返礼品に並ぶ。つや姫は山形県発祥の品種で、粒が大きく、甘みが強い。蔵王町はこうした複数の品種を丁寧に育てる産地だ。

Wikipediaの記述によれば、この町はモモ、ナシ、ウド、ブルーベリーが名産で、特に梨の生産量は宮城県内一を誇る。また、施設栽培によるツルムラサキの出荷高は日本一で、宮城県内生産高の約8割を占めている。つまり、蔵王町の農業は、米を軸としながらも、季節ごとに多様な野菜と果実を家庭に届ける産地なのだ。
遠刈田温泉と、町の奥行き
返礼品には楽天トラベルクーポンも用意されている。蔵王町には遠刈田温泉があり、蔵王連峰の麓で湯に浸かることができる。米を食べ、温泉に浸かる。そうした町の奥行きが、ふるさと納税の返礼品に映っている。
蔵王町は、1955年に円田村と宮村が合併して発足した町だ。戦後、パラオからの引揚者が入植した地区は「北原尾」と命名されたという歴史も持つ。小さな町だからこそ、農業の営みと温泉の湯が、同じ風景の中に息づいている。
米を選ぶ時は、その町の冬を想像してみてほしい。-10℃の朝、白い息を吐きながら田を見守る農家の手が、粒に込められている。
