松島湾に囲まれた、魚の町
塩竈は、松島湾と塩竈湾に抱かれた港町だ。古代から陸奥国の国府の港として栄え、平安時代には京の貴族たちが千賀ノ浦の風景を憧れた。いまも、その地形は変わらない。埋立地が6割、丘陵地が4割という市街地の中に、塩釜港がある。東北地方最大の水産物卸売市場を持つこの港は、生マグロの水揚げ日本一、蒲鉾の生産も日本一。人口あたりの寿司屋の数も日本一という、数字では測れない「魚の濃さ」がある。
寄付で届く返礼品の多くが、この市場を通じた魚たちだ。それは観光地の「名物」ではなく、塩竈の台所そのものである。
わら焼きの香りが、晩酌を呼ぶ
推し一品は、わら焼き鰹のたたき。容量を選べるのは、この町の食べ方を知っているからだろう。

鰹のたたきは、塩竈の台所では「一度に食べきる」ものではない。冷凍で届いたそれを、食べる分だけ解凍し、薄く切り、塩と生姜とニンニクで食べる。翌日は、ほぐして丼にする。三日目は、細かく刻んで、ポン酢で和える。わら焼きの香りは、毎晩の晩酌の相棒になる。

塩竈の寿司屋が多いのは、この町の人たちが「魚を毎日、何度も、違う食べ方で」向き合うからではないか。わら焼きの赤身は、その習慣を家の台所に持ち込む。
塩辛と、市場の食事券
塩辛の詰め合わせは、ご飯の友であり、酒の肴であり、白菜漬けの隠し味にもなる。小分けされた5本は、イカ、ゆず薫、旨辛、ぶっかけ、ひもキムチと、塩竈の漁師たちが季節ごとに仕込む味の記録だ。一本を開けば、その日の気分で選べる。

もう一つ、塩釜水産物仲卸市場の食事券も、この町を知る道だ。市場の中の食堂で、その朝に水揚げされた刺身定食を食べる。それは、返礼品ではなく、塩竈という町そのものへの招待状である。
他の選び方
燻製牡蠣は、冬から春にかけて、酒の肴として重宝する。小分けされているので、毎晩一パック、ゆっくり味わえる。本マグロの赤身は、刺身として、あるいは漬けにして、塩竈の台所の最高峰を体験する選択肢だ。
塩竈への寄付は、この町の漁師たちが毎日選んだ魚を、自分の台所に迎えることだ。