やませの中で、米は何度も選別される
六ヶ所村は下北半島の太平洋岸にあり、冬は-10℃近くまで冷え込む。年間降水量は1410mm、日照時間は1645時間と、決して恵まれた気候ではない。特に夏場の冷たい風「やませ」は、稲作にとって大敵だ。だからこそ、この村で育つ米は、冷害に耐える品種と、それを作る農家の目利きで成り立っている。
まっしぐらの玄米は、そうした環境で秋を迎えた米だ。玄米で届くということは、精米の時間を自分の台所に委ねるということ。新米の季節、精米機の音を聞きながら、その日の食べ分だけを白くする。冷たい風の中で育った米粒は、噛むたびに甘みが立ち上る。炊きたての湯気の中で、やませを越えた夏の記憶が蘇る。

長芋焼酎は、冷害に強い根菜の誇り
やませは稲だけでなく、地上の野菜も傷める。だから六ヶ所の農業は、地中に目を向けた。ナガイモなどの根菜類は、冷害に強く、この土地で何十年も作られ続けてきた。
六趣という長芋焼酎は、その根菜の力を液体にしたものだ。長芋を焼酎にするには、澱粉を糖化し、発酵させ、蒸留する手間がある。芋焼酎とは違う、さらりとした飲み口の中に、土の深さが隠れている。晩酌の盃に注ぐと、冷たい北の風の中で育った長芋の、静かな甘さが立ち上る。

六ヶ所村の食卓は、やませとの付き合い方で形作られてきた。米も焼酎も、その風景の中で初めて、本当の味になる。