琉球の北で、南国の果実が熟れる
西原町は那覇の北東、首里からさらに北に位置する町だ。沖縄方言で「にし」は北を意味する。琉球王国の中心であった首里の北、という地名の由来が、この町の歴史的な位置づけをそのまま語っている。
戦前、この土地はサトウキビと稲作の地だった。沖縄戦で住民の約半数が失われ、戦後は製糖工場を中心に産業が再編された。だが時代とともに、この町の農業は変わっていく。今、西原町の食卓に届く返礼品は、南国の果実だ。
パッションフルーツは、5月から初夏にかけて届く。黄色く熟した果実を半分に割ると、中身は酸っぱく甘い果肉と種。スプーンですくって食べるのが沖縄の食べ方だ。冷蔵庫で冷やしておけば、夏の朝食に、あるいは昼下がりの一杯の水の代わりに。そのまま食べるのが最も簡単だが、ヨーグルトに混ぜたり、炭酸水に浮かべたりする家庭も多い。完熟のものが届くので、到着後すぐに食べ始められる。保存は冷蔵で数日。季節限定の贈り物として、その時期の沖縄の日差しと湿度を一緒に送ることになる。

アップルマンゴーは、6月から夏にかけて。3キロという量は、一人では食べきれない。家族で、あるいは友人と分け合う量だ。完熟したマンゴーは、皮を剥いて食べるのが基本。冷やしたナイフで、種に沿って身を切り、格子状に切り込みを入れて、皮を裏返す。その瞬間、果肉が立ち上がる。甘い香りが台所に満ちる。一口かじれば、繊維質の少ない果肉が口の中で溶ける。

西原町は琉球大学を擁する「文教のまち」として知られるが、その一方で、この町の農業者たちは、沖縄の気候と土地を活かした果実栽培を続けている。パッションフルーツもマンゴーも、この町の日中の日差しと、夜間の湿度があってこそ育つ。返礼品として届く果実は、その風土の産物であり、同時に、この町で生きる人たちの手間と季節感の結晶だ。
