朝日が昇る村で、甘さを詰める
東村の名は『日の出るところ東なり』に由来する。沖縄本島の北東端、太平洋に面した海岸線に沿って6つの集落が点在する村だ。私がこの村を見ると、まず思うのは『水と光に恵まれた場所』ということ。福地ダムを筆頭に大小14の河川が流れ、朝日が真っ先に当たる東向きの斜面。そうした地形が、この村の農業を形作ってきた。
パイナップルはこの村の主要な産業の一つ。農業従事者が全就業者の4割を占める村で、パイナップルのブランド化に力を入れている。東村のパイナップル缶詰は、その取り組みの一つの形だ。

缶詰というのは、実は農村にとって大切な仕事である。生の果実は季節に限られ、日持ちがしない。だが缶詰にすれば、一年を通じて食卓に届く。東村で育ったパイナップルが、加工を経て缶詰になる。その過程は、村の農業が『地元で完結する産業』から『全国の食卓へ』という広がりを持つことを意味している。
届いた缶詰を開けるのは、冬の朝食かもしれない。ヨーグルトに混ぜたり、そのまま冷やして食べたり。あるいは、子どもが学校の弁当に入れるかもしれない。缶詰の甘さは、東村の太陽と水が詰まったものだ。
海の恵みも、同じ村から
この村は農業だけではない。6つの集落のうち、慶佐次と有銘には漁港がある。海ぶどうは、その海の側面を代表する返礼品だ。

慶佐次湾はマングローブ林が広がり、エコツーリズムの拠点となっている場所。そこで育つ海ぶどうは、独特の食感と塩辛さを持つ。ポン酢をかけて、そのまま食べるのが最もシンプルな食べ方だ。冷蔵庫に常備しておけば、ご飯の上に乗せたり、酢の物に混ぜたり、夏の食卓を涼しくする使い道は多い。
東村は、山から海へ、農業から漁業へと、一つの村の中に複数の産業を持つ。人口1500人余りの小さな村だからこそ、その営みは濃密で、一つ一つが村全体の風景と結びついている。
