島の水が焼酎になるまで
与論島は鹿児島本土から南へ563km、沖縄本島からは北へ23km。この位置に浮かぶ小さな島で、ただ一つの酒造メーカー・有村酒造が、黒糖焼酎を仕込んでいる。
私がこの町を見ているのは、『島の資源をそのまま飲み物にする』という営みの現場だ。与論島の水——それは雨が少ない島だからこそ、地下に浸透して濾過された、清冽な水だ。その水に黒糖を合わせ、杜氏の手で発酵させる。島有泉のセットが家に届くのは、この島の地層と気候と、職人の判断が一本の瓶に詰まった状態だ。

シロとクロ、どちらを選ぶか迷う人も多いだろう。シロは爽やかさが前に出て、夏の晩酌に氷を入れて飲むと、島の風が通る。クロは熟成の深さがあり、ぬるめのお湯割りで、ゆっくり味わう酒だ。どちらも同じ島の水から生まれたものなのに、仕込みの時間と樽の選択で、まったく別の表情になる。
島の食卓に、もう一つの返礼品
焼酎と一緒に食卓に迎えたいのが、ソデイカだ。与論島の特産で、イカの一種。甘みが強く、刺身で食べるのが最も素直な食べ方だが、塩辛く仕上げたものを酒の肴にするのも、この島の食べ方だ。冷凍で届くので、解凍して塩辛さを少し洗い、そのまま盃の傍に置く。焼酎の爽やかさと、ソデイカの甘塩辛さが、互いに引き立つ。

島は小さく、人口も限られている。だからこそ、ここで作られるものは、島の人たちが何度も何度も食べ、飲み、改良してきた『島の味』だ。寄付をして返礼品を受け取ることは、その営みを遠くから支える一つの形になる。

島の歴史が、今の産業を作った
与論島は1898年の台風で壊滅的な被害を受け、その後、島民の多くが本土や沖縄へ移住していった。その歴史の中で、島に残った人たちが、限られた資源で何を作り続けるか——それが、今の黒糖焼酎であり、ソデイカの塩辛であり、島の農業だ。
翠ライムのような柑橘類も、島の日差しと潮風の中で育つ。これらは観光地としての与論島を支える産業でもあり、同時に、島の人たちが毎日の食卓で食べてきたものでもある。
