標高500メートルの台所
宮崎県の北西部、九州山地の中央に位置する五ヶ瀬町。この町の気候は、南国のイメージを裏切る。年平均気温は12.9℃。真夏の8月でも日平均気温は青森市と変わらず、熱帯夜は一度も観測されたことがない。冬は仙台市並みの寒さで、雪も積もる。
この冷涼さが、この町の食べ物を決めている。
熊本市までは車で1時間半。宮崎市までは2時間半。地理的には宮崎県に属しながら、気候と生活圏は熊本に近い。その境界線の上で、この町は独自の食文化を育ててきた。
牛を育てる風土
宮崎牛の切り落としは、この町の冷涼さの中で肥育された黒毛和牛だ。A4~A5等級という上質な肉が、500gか1kgで届く。

切り落としという形態は、家の食卓にとって現実的だ。すき焼きの時に、鍋に入れる。牛丼にする。炒め物に使う。一度に全量を使い切る必要がなく、冷凍庫に常備できる。真冬の夜、温かい鍋を囲む時、この肉の脂の甘さが、冷えた体を温める。

高千穂牛のハンバーグも、この地域の牛肉文化を代表する。地域限定肥育された黒毛和牛を使い、すでに成形されて届く。解凍して焼くだけで、A4~A5等級の肉の味わいが食卓に上る。子どもの弁当にも、大人の晩酌の肴にもなる。
米とワイン、高地の産物
銘柄米は、コシヒカリかひのひかり、5kg~30kgの間で選べる。無洗米か白米か、家の台所の習慣に合わせて選ぶ。冷涼な気候で育つ米は、粘りと甘みが特徴だ。毎日の食卓の基本だからこそ、産地を意識して選ぶ価値がある。

ワインは、この町の新しい顔だ。五ヶ瀬スパークリングワインは、ロゼのやや甘口。発泡タイプだから、晩酌の時に一杯だけ、という飲み方もできる。高地の冷涼さが、ワイン用ぶどうの栽培を可能にした。2015年には、この地域が世界農業遺産に認定されている。
季節の手当て
冬が来る前に、米を多めに備える。牛肉を冷凍庫に常備する。ワインを一本、棚に置く。五ヶ瀬町の返礼品は、そうした季節の手当てを、具体的に支える。この町に寄付することは、冷涼な山の上の台所を、自分の家に引き寄せることだ。