赤牛が、この町の地形を映す
益城町は熊本市の東に隣接し、北は台地、中央は平野、南は山地へと地形が変わる。その多様さが、この町の農業を支えている。
推し一品は熊本赤牛のすきやき・しゃぶ用。赤牛は熊本を代表する牛だが、益城町はその産地の一角を担う。赤牛の肉質は、濃い赤身と適度な脂のバランスが特徴だ。すきやきやしゃぶしゃぶで食べると、その違いが明らかになる。薄く切られた肉が、熱湯や割り下にくぐる瞬間、赤身の甘みが引き出される。家族で鍋を囲む時間に、この肉は欠かせない。400gか800gか選べるのは、食卓の人数や季節に合わせるためだ。冬の晩酌に、春先の家族団らんに。肉の質感と味わいが、その日の食べ方を決める。

赤牛を育てるのは、この町の畜産農家たちだ。北部の益城台地は畑作地として知られるが、その一帯で飼育される牛たちは、地元の飼料と手間をかけた飼養管理の中で育つ。肉になるまでの時間が、味に刻まれている。
野菜と米、季節の手当て
同じ町から届く定期便・益城三昧は、12ヶ月で野菜16品目、米、柿、スイカが順番に家に着く。これは『返礼品』というより、その町の季節を台所に迎える仕組みだ。春の新野菜、夏のスイカ、秋の柿、冬の根菜。毎月届く野菜の顔ぶれが変わることで、自分たちが何を食べるべき季節にいるのかが、自然と見えてくる。

益城町の中央部は熊本平野の一環で、水田地帯が広がっている。その米と、北部台地で育つ野菜。町の地形そのものが、食卓に映る。

赤牛の肉を前に、その日の野菜を選ぶ。冬なら大根や白菜。春なら新玉ねぎ。そうした組み合わせの中で、益城町の食べ方が成立する。肉だけでなく、野菜の季節感があってこそ、食卓は完成する。
2016年の地震で大きな被害を受けた益城町は、今も復興の途上にある。その中で、農業と畜産は町の生業として、静かに続いている。赤牛の肉も、毎月届く野菜も、そうした営みの結果だ。寄付を通じて、この町の食卓を支えることは、復興を支えることでもある。