雪が育てる、米と水の関係
山形県の南西部、小国町。冬になると、日本海からの季節風が朝日山地と飯豊連峰を越えて吹き込み、中心部でも積雪が2メートルを超える。沼沢地区は日本有数の豪雪地帯として知られている。この厳しさの中で、米は育つ。
年平均降雪量が958センチメートル、年平均降水量が3051ミリメートル。こうした気候条件は、一見すると農業に不利に見える。だが、雪解け水は清冽で、土壌に深く浸透し、ミネラルを含んだ地下水となる。また、寒暖の差が大きい大陸性気候は、米の澱粉質をしっかり詰まらせる。小国の米は、酒造りに必要な硬度と清廉さを備えている。
河津酒造株式会社は、この町で何代にもわたって酒を醸してきた。純米吟醸 花雪は、令和7年産の米を使い、小国の水で仕込まれた一本だ。吟醸香が立ち、米の甘みと酸のバランスが整っている。冬の晩酌に、あるいは雪の夜の食卓に、この酒を注ぐと、その土地の時間が一杯の中に凝縮されているのが感じられる。

蔵の仕事、季節の手当て
小国町は江戸時代、米沢藩領だった。米沢藩の小国御役屋が置かれ、この地は藩の統治下で米作りと酒造りが営まれてきた。その歴史は、現在の酒蔵にも息づいている。
酒造りは、米を蒸し、麹を育て、酵母を働かせ、時間をかけて発酵させる。吟醸酒は、米を60パーセント程度まで磨き、低温でゆっくり発酵させる。この手仕事は、季節の温度変化に敏感だ。小国の冬の冷え込みは、酒造りにとって味方になる。清潔な低温環境が自然に整うからだ。
特別純米酒も、同じ蔵の手で仕込まれている。こちらは、米を70パーセント程度残し、より米の旨味を引き出した造りだ。毎日の食卓に合わせやすく、小国の山菜や川魚、地の野菜と一緒に飲むと、その相性の良さが分かる。

小国町は、豪雪地帯であり、森林セラピー基地に認定された自然豊かな町でもある。その風土の中で、米と水と人の手が出会う場所が、酒蔵だ。寄付を通じて届く一本は、単なる飲み物ではなく、この町の冬の営みそのものを味わう機会になる。
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