有明海の低平地が、肉を育てる
長洲町は熊本県北西部、有明海に面した町だ。江戸時代からの干拓で造成された土地が広がり、町の西南部は海に接している。この低平で水に恵まれた土地は、金魚や錦鯉の養殖で知られてきた。だが同じ風土が、別の生き物も育てている。
あか牛の切り落としは、この町の畜産の顔だ。赤身が主体で、脂肪が少ない。焼肉にするなら、タレの味が肉に直結する。炒め物に使えば、肉の香りが野菜を引き立てる。冷蔵で届いた時点で、すぐに食卓に乗せられる手軽さがある。

有明海沿岸の埋立地には工場が立地し、町の産業を支えている。だが農畜産の営みも、この土地の一部だ。低平地だからこそ、飼料作物も育ちやすく、牛たちは季節の草を食む。金魚の養殖池と同じ水系に生きる牛の肉は、この町の地層を食べることになる。
台所に着地する、赤身の使い方
切り落としは、形が揃わない分、値が手頃だ。1.1キロが4パックに分かれているので、一度に使い切る必要がない。冷凍保存も効く。週の中盤、疲れた夜に、フライパンで塩焼きにする。あるいは、玉ねぎと一緒に炒めて、ご飯に乗せる。赤身だから、油が少なく、後味が重くない。

蒲鉾のセットも、この町の海の産物だ。有明海の海苔養殖と同じ水域で、魚も育つ。欧風カレーチーズ、サラミナッツ、海鮮バジルの三種は、おせちや父の日の手土産にもなる。肉と魚、両方の町の顔を一度に知ることができる。

米も、この町の基本だ。ひのひかりや森のくまさんは、特A受賞品種。無洗米なので、研ぐ手間がない。赤身肉を食べる時、白い米があれば、食卓は完成する。
金魚の町の、もう一つの営み
長洲町は金魚まつりで知られ、5月には火の国長洲金魚まつりが開かれる。だが町の産業は、金魚だけではない。牛も、米も、海の幸も、この低平地で育つ。赤身肉を食べることは、金魚の町の、もう一つの営みを家の食卓に招くことだ。
