鳴瀬川と江合川に挟まれた、牧畜の土地
宮城県北部、大崎平野の中心に美里町はある。町の面積の約70%が水田や畑という農業地帯だが、同時にこの町は牧畜の適地でもある。鳴瀬川と江合川が貫流し、水利に恵まれた平坦な土地。そうした環境で育つのが、赤牛だ。
赤牛というのは、熊本の褐毛和牛を指すことが多いが、美里町で扱う赤牛もまた、その血統を引く牛である。濃い赤褐色の毛並みを持ち、脂肪が少なく、赤身の風味が強い。焼いた時に肉そのものの味わいが前に出る——それが赤牛の特徴だ。
赤牛のサーロインステーキは、その特性を最も活かせる部位である。200gの厚切りが2枚。家族で、あるいは夫婦で、一枚ずつ焼く。フライパンか鉄板を熱して、塩をふり、油をひかずに焼く。赤牛は脂が少ないから、余分な油は不要だ。表面に焦げ目がついたら、ひっくり返す。中火で3分、4分。肉の厚みと好みで調整する。

付属のたれは、赤牛の赤身を引き立てるために調整されたものだろう。焼き上がった肉に少したれをかけ、かじる。肉の繊維がしっかり感じられ、かみしめるほどに風味が広がる。脂っこさがないから、何枚でも食べられそうな錯覚に陥る。実際には、赤牛の赤身は満足感が高く、少量で充足する。
台所に届く、季節の晩酌
赤牛のステーキは、特別な日の食卓ではなく、むしろ日常の晩酌の相棒として機能する。冷蔵庫に2パック入っていれば、週末の夜、仕事から帰った後、さっと焼いて食べる。調理時間は10分以下。手間がない。
春から秋にかけて、ビールを飲みながら焼く。冬は熱燗と合わせる。赤牛の赤身は、どちらの酒にも寄り添う。脂が少ないから、酒の後味を邪魔しない。むしろ、肉の風味が酒を引き立てる。
美里町の返礼品として赤牛を選ぶことは、この町の農業と畜産の両輪を支持することでもある。大崎平野の水と土が育てた飼料で、赤牛は育つ。その肉が、あなたの台所に届く。それは、町の営みが、直線で家の食卓につながっていることを意味する。