山の水が米を育てる
添田町は、英彦山を源流とする彦山川が町の中央を流れる。標高1,100メートル以上の山々に囲まれた盆地で、冬は-7℃を下回る冷え込みもある。こうした気象条件の厳しさが、実は米作りに向いている土地だ。
定期便の無洗米は、この町の農業の現在地を映している。かつて筑豊炭田の中心地だった添田町は、1960年代に25,000人いた人口が半減し、炭鉱の全閉山後、農業へと産業の軸足を移した。その過程で、町の人たちが丁寧に育ててきたのが米だ。

無洗米という選択肢が用意されているのは、現代の台所の現実を知っているからだろう。研ぐ手間を省きながら、毎月届く定期便で、季節ごとの新しい米を食卓に迎える。5kg、10kg、15kg、20kgから選べるのは、家族の人数や保存スペースに合わせるためだ。山の冷たい水で育った米は、冷めても甘みが残りやすい。おにぎりにも、白飯のままでも、その土地の味が引き立つ。
牛肉が語る、町の営み
博多和牛の赤身と霜降りも、添田町の農業の一面を示している。かつての炭鉱労働者たちが去った後、この町で畜産に向き合う人たちがいる。A4~A5等級という品質は、飼い手の手間と知識の積み重ねだ。

肩とモモという部位の組み合わせは、家庭での使い方を想定している。赤身は火の通りが早く、霜降りは煮込みで柔らかくなる。しゃぶしゃぶにもすき焼きにも対応できる800gは、4人家族の夜ご飯、あるいは週末の食卓を想像させる。冷凍で届き、解凍して調理する。その数日間、家の台所には、この町で育った牛の香りが満ちる。
土地が変わる時間
添田町は、今も変わり続けている。2023年、日田彦山線のBRT開業で、町と周辺地域の移動が新しい形になった。2025年には小学校と中学校が新築・移転し、教育の拠点も変わる。そうした転換の中で、米と牛肉は、この町の人たちが現在進行形で育てている産物だ。
寄付を通じて届く返礼品は、単なる食べ物ではなく、山の麓で営まれている営みそのものである。
