クリークの町で、米が育つ理由
大木町を初めて訪れると、目に入るのは水だ。筑後平野の一部を成すこの町は、クリーク——農業用の水路——が張り巡らされている。江戸時代から続く灌漑網が、今も田んぼを潤している。その水が、米の味を決める。
環のめぐみは、この町が「特別栽培米」として認証した品だ。農薬と化学肥料を減らし、クリークの水と土の力を引き出す作り方をしている。届いた米を炊くと、粒がしっかり立つ。冷めても硬くならない。毎日の朝食で、その違いが分かる。白いご飯だけで食べたくなる米というのは、実は珍しい。

同じ町から、選べる品種と容量の福岡県産米も出ている。夢つくしと元気つくしから選べるので、家族の好みに合わせて試すことができる。米は毎月の食卓に欠かせないものだから、定期便で届く安定感も、実際の暮らしでは大事だ。

冬から春へ、野菜の季節が重なる
大木町の産業は、米だけではない。2000年代以降、イグサの栽培が減る中で、キノコ類やイチゴ、アスパラガスへシフトしてきた。特にキノコは西日本でも有数の産地だ。

冬から春にかけて、あまおうが届く。福岡県産のいちごで、甘みが強く、酸味とのバランスが取れている。届いたその日に、半分は生で食べる。残りは、砂糖をまぶして冷蔵庫に置き、翌朝のヨーグルトに混ぜる。いちごの季節は短いから、その時間を大事にしたくなる。
台所に届く、もう一つの選択肢
辛子明太子も、この町の返礼品だ。量を選べるので、一人暮らしなら250gから、家族がいれば1kg以上まで、自分たちのペースに合わせられる。白いご飯の上に乗せるだけで、朝食が完成する。冷凍保存もできるから、ストックしておくと、急いでいる朝に助かる。
大木町は、久留米市の南西15km、筑後平野の中にある小さな町だ。派手さはないが、毎日の食卓を支える農産物が、静かに育っている場所だ。
編集後記
高木 みのり
大木町を調べていて印象的だったのは、クリークという水路の存在だ。江戸時代から続く灌漑網が、今も町を潤している。返礼品の米も野菜も、その水があってこそ育つ。ふるさと納税は『寄付して返礼品をもらう』という取引に見えるが、実は『その町の風土を、毎日の食卓に迎え入れる』という営みなのだと、改めて感じた。米を炊く時、その水のことを思い出す。そういう距離感が、私は好きだ。