山の斜面が育てる、季節の手渡し
東峰村は福岡県の南東、大分県日田市と隣接する山村だ。村域の大半が山地で、わずかな農業地帯が点在する。年平均降水量が2200mm前後、年平均気温13℃前後という多雨でやや冷涼な気候。冬は福岡県内でも有数の積雪地で、寒波の時には一晩で30cm近く積もることもある。こうした厳しい気象条件が、実は果樹栽培に適した環境を作っている。
南国フルーツの季節定期便は、この村の果樹園から夏から冬へかけて、月ごとに異なる果実が家に届く。全5回の便で、季節の移ろいを食卓で追体験することになる。届いた箱を開けるたびに、その時期にこの山あいで何が旬を迎えているのかが、自然と見えてくる。

山地の斜面に根を張った果樹は、昼夜の気温差が大きいほど、糖度が高まる。冬の冷え込みが厳しい東峰村だからこそ、春から初夏にかけて育つ果実は、濃い味わいを蓄える。定期便という形式は、その季節ごとの「今、食べるべき果実」を農家の判断で選んでくれるということでもある。冷蔵庫に常備するのではなく、届いたら数日のうちに食べきる。そういう、昔ながらの果実との付き合い方が、この村では今も続いている。
小麦の香りが立ち上る、村の食卓
一方、福岡県産小麦のラーメンも、この村の風土を映している。東峰村は山地が大半だが、小石原盆地や宝珠山川沿いの僅かな平地で、古くから穀物が作られてきた。福岡県産の小麦を100%使ったラーメンは、地元の食卓に根ざした素材を、現代の食べ方で再編成したものだ。

半生麺という形態は、乾麺ほど日持ちしないが、生麺ほど扱いが難しくない。冷蔵庫に常備しておいて、夜中の一杯、朝の軽い食事、子どもたちの帰宅後のおやつ代わりに。そういう日常の中で、福岡県産の小麦の香りが立ち上る。食べ比べセットなので、複数の製法や風味の違いを、家族で試しながら好みを見つけることもできる。

山村の季節を、家の食卓に
東峰村は2005年に小石原村と宝珠山村が合併して発足した、人口約1900人の小さな村だ。2012年には「日本で最も美しい村連合」に加盟し、小石原焼という国指定伝統工芸品も生まれた土地である。しかし返礼品として届くのは、そうした「観光的な美しさ」ではなく、山あいで実際に育てられ、食べられてきた果実と穀物だ。
季節の定期便と、日常の麺。どちらも、この村で生きる人たちが、自分たちの食卓に置いてきたものばかりだ。
