炭鉱から、牧場へ
水巻町は、かつて日本炭礦の高松炭鉱で栄えた町だ。1960年代初頭には人口3万5000人を超えていたが、エネルギー革命とともに炭坑は閉山し、町は急速に衰退した。1970年には過疎地域に指定されるほどだった。
しかし、その後の町の選択は興味深い。炭鉱跡地を梅ノ木団地として再開発し、北九州市に隣接する地の利を生かしてベッドタウンへと転換した。今、水巻町の返礼品として届く博多和牛は、その転換の先にある、新しい産業の顔だ。

食卓に届く、A4~A5の厚み
博多和牛の切り落としは、届いた時点で既に調理への道筋が見える。500gという量は、家族の夜ごはんに、あるいは週末の鍋に、ちょうど良い分量だ。A4~A5という等級は、脂の入り方が安定していることを意味する。冷凍で届いた肉を解凍し、フライパンで焼く時、その脂が音を立てる。玉ねぎやもやしと一緒に炒めれば、脂が野菜に絡み、ご飯が進む。あるいは、すき焼きの鍋に入れて、割り下の中でさっと火を通す。切り落としだからこそ、火の通りが均等で、食べやすい。
北九州地域で育った和牛を、水巻町経由で家に迎える。それは、この町が過去の産業から新しい産業へと歩んだ道のりを、食卓で感じることでもある。
町の転換を支える、もう一つの選択肢
同じく400gの切り落としも、より少人数の食卓や、試しに食べてみたい時に向いている。どちらを選ぶかは、家族の人数や食べ方の習慣で決まる。

水巻町は、かつての炭鉱の町から、北九州都市圏の一部へと生まれ変わった。その過程で失われたものは多いが、今この町が返礼品として届けるのは、新しい時代に根ざした食材だ。
