遠賀川河口、老舗の目利きが選ぶ海の一品
中間市は遠賀川によって川西と川東に二分される町だ。かつて炭坑の町として栄えたこの地は、昭和30年代後半から北九州都市圏のベッドタウンへと生まれ変わった。だが、その歴史の転換点で忘れてはならないのが、この町が遠賀平野の肥沃な土地と、河口の海に恵まれていたという事実である。
推し一品は、中間の老舗・辻鮮魚店が手がけるイカうに珍味だ。イカとウニを塩漬けにした、シンプルな一品。晩酌の肴として、ご飯の上にのせて、あるいはパスタに混ぜて——食べ手の台所で何度も出番を迎える珍味である。

辻鮮魚店は、遠賀川河口で水揚げされる魚介を扱ってきた。炭坑の町が栄えていた時代も、その後の衰退の時代も、この店は変わらず地元の漁獲物を仕入れ、塩漬けや珍味に仕立ててきた。3代目店主の手による珍味は、単なる「おつまみ」ではなく、この町が遠賀川とどう付き合ってきたかを物語る一品なのだ。
河口の恵みを、家の食卓へ
イカうに珍味が届いたら、まずは小皿に盛って、晩酌の相棒にしてみてほしい。塩辛さが酒を呼び、酒がご飯を呼ぶ——そうした食卓の循環が、この珍味には詰まっている。あるいは、温かいご飯の上にのせ、お湯をかけてお茶漬けにするのも良い。イカとウニの香りが立ち上り、一杯で満足できる一品になる。

同じく辻鮮魚店の手によるたこわさとイカ塩辛も、この町の海の仕事を知る返礼品だ。タコとイカ、二つの珍味が詰め合わせになっており、食べ比べることで、遠賀川河口で獲れる海の幸の多様性を感じることができる。

一方、玄海の極上天然鯛めしセットは、この地域の海の豊かさをより直接的に味わう返礼品。鯛の切身とだし汁が届き、自分の台所で鯛めしを仕立てることができる。炊きたてのご飯に鯛をのせ、だし汁をかけ、箸を入れる——その瞬間、遠賀川河口の海がテーブルに現れる。
炭坑から、海へ
中間市が炭鉱の町として全盛を誇った時代、石炭は遠賀川や堀川を舟で運ばれていた。その後、エネルギー革命によって炭坑は次々と閉山し、この町は住宅都市へと転換した。だが、遠賀川は変わらず流れ続け、河口の海は変わらず恵みをもたらし続けている。
老舗の鮮魚店が今も営み、珍味を仕立て、それが返礼品として全国の食卓に届く——それは、この町が産業の転換を経ても、地元の海と川に根ざした生業を守り続けてきたことの証だ。イカうに珍味一つが、そうした町の歴史と現在を繋ぐ。