削り節が支える町の風景
伊予灘に面した伊予市に入ると、まず目に入るのは海だ。五色浜の砂浜、下灘駅から見える水平線。そしてその背後には、谷上山や秦皇山といった山々が控えている。この海と山の距離感の中で、この町は古くから漁業と農業を営んできた。
特に目立つのが、複数の削り節工場だ。ヤマキやマルトモといった有力企業の本社・工場が立地し、国内に出荷される削り節の6割がここから生まれている。かつて郡中港は大洲藩の物資積出港として栄え、江戸時代には商人たちが灘町で事業を営み始めた。その交易の歴史が、やがて水産加工業へと結実したのだ。
貝柱のせんべいは、そうした町の産業を体現する一品だ。いたや貝の貝柱を素材本来の味で仕上げたもの。晩酌の時間、酒の肴として卓に置けば、伊予灘で獲れた海の恵みが、そのまま手に届く感覚がある。素朴で、余計な手を加えない。それは削り節の製法と同じ思想だ。

町に泊まり、海を眺める
この町を訪れるなら、海沿いに泊まるのが良い。楽天トラベルクーポンを使えば、五色浜や下灘駅周辺の宿で、伊予灘の夕焼けを眺めながら夜を過ごせる。予讃線の「愛ある伊予灘線」は海岸部を走り、観光列車「伊予灘ものがたり」も下灘駅に停車する。駅舎から見える景色は、この町の原風景そのものだ。

町の中心部・郡中は、かつての交易地としての面影を残している。木村邸や宮内邸といった旧家が景観重要建造物として選定され、手づくり交流市場「町家」では地域の品が並ぶ。高齢化による空洞化が進む中でも、この町は自分たちの歴史を丁寧に保存しようとしている。
海と山、古い町並みと現在の暮らしが共存する伊予市。削り節という産業を通じて、この町の時間の流れを感じることができる。
