海が近い町の、当たり前の食べ方
宇和島は西側を宇和海に開いた町だ。三方を山に囲まれ、平地は限られているが、その代わりにリアス式海岸がもたらす漁港の数は全国有数。私がこの町を見るとき、まず思うのは「海と山が台所に直結している」ということだ。
真珠養殖で一時代を築き、いまはハマチやマダイの養殖が日本一の産地。その鯛が、家庭の食卓にどう着地するか——それが宇和島の鯛めしだ。生の真鯛を、炊きたてのご飯の上に刺身のまま乗せる。タレをかけて、混ぜて食べる。シンプルだが、これは養殖地だからこそ成立する食べ方である。鮮度が命。朝獲れの鯛が、その日のうちに食卓に届く距離感があってこそ。

届いた鯛めしセットを開けば、真空パックの生鯛と、タレ、ご飯がセットになっている。調理は電子レンジか湯煎で温めるだけ。ご飯を器に盛り、鯛を乗せ、タレをかける。五分で、宇和島の海が食卓に現れる。季節を問わず、いつでも同じ鮮度で食べられるのは、養殖という産業があるからだ。
柑橘の季節感を、冷凍で保つ
宇和島の冬は、四国の中でも日照時間が少なく、降水量が多い。その気候が、実は柑橘栽培に適している。極早生みかんは、秋口から出荷が始まる。皮が薄く、甘みが濃い品種だ。

家に届いた10kgのみかんは、そのまま食べるのもいいが、冷凍みかんにして保存するのが宇和島流。冷凍みかんと冷凍しらぬいは、すでに皮を剥いて冷凍されている。夏の昼下がり、凍ったまま食べると、シャーベットのような食感。冬に届いた秋の果実が、季節を越えて家の冷凍庫で待っている。
海底で熟成した焼酎、米の香りで晩酌
海底熟成焼酎は、宇和島の海の深さを感じさせる返礼品だ。海底の低温と圧力の中で、焼酎が熟成される。陸上では味わえない、塩辛さと深みが生まれる。晩酌のグラスに注ぐと、海の香りが立ち上る。
三間米は、市内の三間地域で栽培される特別栽培米。コシヒカリの粒立ちのいい食感と、ほのかな甘み。この米を炊いて、焼酎を傾ける。海と山、両方の恵みが一つの晩酌に集約される。
宇和島への寄付は、この町の生業——養殖、柑橘、焼酎——が家の食卓に届く約束だ。季節ごとに、その時々の産物が、冷蔵庫や食卓に現れる。それが、ふるさと納税の本来の姿だと私は考える。