港と工場に囲まれた、意外な静寂
下松市は瀬戸内海の工業地帯だ。日立製作所の鉄道車両工場、東洋鋼鈑、造船所。大規模な産業施設が市の南部に立ち並び、徳山下松港を中心に周南コンビナートの一角を占めている。人口密度も県内で最も高く、商業施設も充実した、活気のある町である。
しかし市の沖には笠戸島がある。工業都市のすぐ先に、静かな島がある。その地勢が、この町の返礼品を生んだ。
国民宿舎大城の宿泊補助券は、その笠戸島に立つ温泉宿への招待だ。工場の煙が見える距離にありながら、島の温泉に浸かると、都市の喧騒は遠くなる。瀬戸内の潮風と、湯の温もり。働く町だからこそ、休息が深い。

産業と休息の距離
下松は合併を選ばず、独立した市として歩んできた。周南市や光市と経済的に結びつきながらも、自らの産業基盤を守った。その自立心が、市民向けの福祉施設としての国民宿舎を、返礼品として提供する姿勢に表れている。

寄付をすると、笠戸島の温泉で数時間、あるいは一夜を過ごせる。海を隔てた向こう側には、日々の仕事がある。だが今は、湯に身を委ねる時間だ。工業都市が市民に与える、最もシンプルな贈り物。それが、この宿泊補助券である。
