棚田から食卓へ、米の重さ
美咲町の朝食は、卵かけご飯から始まる。町出身の岸田吟香が愛好し全国に広めたという説がある、その食べ方の原点がここにある。だが、卵かけご飯を成立させるのは、実は米だ。
町の中央を旭川が貫き、吉井川も流れる。この水と、吉備高原の丘陵地に刻まれた棚田。日本棚田百選に選定された大垪和西の棚田、小山の棚田——人の手が何世代も重ねて作った風景が、ここの米を育てている。美咲町産きぬむすめは、その棚田で収穫される。選べる量は5kg、10kg、15kg、20kg。家族の食べ方に合わせて、米の届き方を決められる。

令和7年産の先行予約だから、新米の季節を待つ楽しみもある。白い飯が炊き上がる瞬間、その香りの中で、この町の水と土と手間が一粒一粒に詰まっていることを思う。卵かけご飯にするなら、米の味わいが主役になる。濃い黄身の卵も、素朴な米があってこそ活きる。
古民家で、季節を過ごす
米を食べるなら、この町で食べてみるのもいい。古民家の宿Otoは、一棟貸しの空間だ。五右衛門風呂、薪ストーブ——季節の手当てが、建築に組み込まれている。冬の夜、薪の音を聞きながら、地元の米を炊く。そういう時間の過ごし方が、ここにはある。

春から初夏にかけて、岡山白桃とシャインマスカットも届く。清水白桃か、おかやま夢白桃か、選べる。棚田の町は、果樹の町でもある。ナシ、ブドウ、桃——旭川と吉井川の水が、甘さを運ぶ。定期便で2回、季節の果実が家に着く。米と卵と果物。美咲町の食卓は、シンプルで、手厚い。
