森に守られた水が、米を育てる
西粟倉村は、岡山県の北東端。面積の95%が森林という、ほぼ山そのものの村だ。その大半が杉や檜の人工林で、吉野川が流れ、若杉天然林のようなブナの原生林も残る。豪雪地帯でもある。
私はこの村を『森が主役で、人間の営みが脇役』という場所だと見ている。だからこそ、ここで育つ米は、森が育てたも同然だ。
源流育ちの米は、そういう背景を持つ。吉野川の上流域、山々に囲まれた田んぼで育つ。雪解け水が流れ込み、ミネラル豊かな水が田を潤す。冬の冷え込みが厳しいからこそ、春の芽吹きも力強い。そういう環境が、粒の詰まった米を作る。

届いた時、袋を開けると、米の香りがする。炊く時も、水加減が素直に応える。粒がしっかり立つから、冷めても硬くならない。朝、昨夜の残りを温め直しても、ご飯として成立している。そういう米だ。
白米か玄米か、5kg から 30kg まで選べるのは、家族の食べ方に合わせるためだ。一人暮らしなら 5kg を月に一度。家族がいれば 10kg を常備する。玄米なら、冷蔵庫で長く保つ。自分たちの台所のペースに合わせて、源流の水が育てた米を、季節ごとに取り寄せる。そういう付き合い方ができる返礼品だ。
起業の村が、米を守る理由
この村は、2004年に合併を拒否した。住民投票で約58%が『合併しない』を選んだ。その後、「百年の森林構想」を掲げ、森を活かした起業を次々と立ち上げてきた。木工房、家具製造、ゲストハウス。森の資源を活かす事業が約20社ある。
だが、米もまた、この村の資源だ。森に守られた水、冬の厳しさ、そして人の手が入った田んぼ。それらが一体になって、米という形で実を結ぶ。起業家たちが森を活かすのと同じように、農家たちは水と土を活かしている。
源流育ちの米を選ぶことは、その営みを支えることでもある。
