白桃が熟れる季節、勝央町の台所
勝央町は岡山県の北東部、中国山地の南麓に位置する。丘陵と山林が大半を占める地形だが、その傾斜地こそが、この町の農業を形作ってきた。黒大豆の生産で知られ、周辺自治体と併せて岡山県全体の収穫高は日本一を誇るようになった。だが季節ごとに目を向けると、この町の台所には梨、桃、栗、ぶどうが次々と上がってくる。
私がこの町を見ているのは、そうした季節の手当てが積み重なった風景としてだ。夏から秋へ移る時期、樹熟しの白桃が届く。糖度15度以上という指標は、単なる数字ではなく、その木でどれだけ日を浴びたか、いつ摘んだかという判断の結果だ。樹熟しとは、枝の上で完全に熟すまで待つということ。届いた時点で、もう食べ頃。冷蔵庫で冷やして、朝食の皿に置く。皮をむく手に、果汁が流れる。そういう食べ方が前提になっている。

同じ季節、シャインマスカットも選べる。房の大きさを選べるのは、家族の人数や食べるペースを考えた配慮だ。ぶどうは日持ちがしないから、どのサイズが自分たちの食卓に合うかは、実際に暮らしている人にしかわからない。

米の町でもある
黒大豆が冬から春の仕事なら、米は通年の基盤だ。きぬむすめは9年連続で特A評価を受けている品種。新米予約で、配送月と容量を選べる。10kg、20kgという選択肢は、家族の大きさと保存の現実を考えた設計だ。新米の季節に届けば、その年の米を食べ始める。古い米から新米へ切り替わる時期の、あの香りと粘りの変化を知っている家庭なら、この選択肢の意味がわかるはずだ。

勝央町の返礼品は、派手さより、季節ごとに何が必要か、どう食べるかを考えた品揃えになっている。それは、この町が農業の現場を持ち続けているからこそ、可能な配慮だと思う。
