日野川と日本海に挟まれた、小さな村の食卓
日吉津村は鳥取県西部、米子市に三方を囲まれた村だ。面積4.20平方キロメートル。県内で一番小さい。北は日本海に面し、東側には日野川が流れる。江戸時代、この村は川越場として知られ、マスやサケが特産品だったという。今も、その地理が村の食べ物を決めている。
海と川に近い立地。そこに、米子市のベッドタウンとして人口が増え続ける活気。2025年現在、鳥取県で唯一、人口が増加している自治体だ。子育て支援に力を入れ、若い世代が移り住む。その家族たちの食卓に、何が届くのか。
海鮮ミックス丼の素は、境港のサーモン、ふぐ、エビを合わせたものだ。丼の素とは、ご飯の上にかけるだけで一杯が完成する、手早さと確かさを両立させた食べ方。朝の準備が忙しい家庭、帰宅後に時間をかけたくない夜。そういう日常の中で、海の味を引き出す。

境港は、日吉津村から近い。日本海側の漁港として、サーモンやふぐ、エビの水揚げが多い土地だ。その日に獲れたものが、加工されて、丼の素になる。冷凍で届き、解凍して、ご飯にかける。五分で食卓に海が上がる。
定期便で、季節の海を食べ続ける
人気海鮮漬け丼の素の定期便は、三回に分けて届く。マグロ、白いか、真鯛、甘エビ、モサエビ、ブリ、サーモン。季節ごとに、境港の漁が変わる。その変化を、家の食卓で感じることができる。

定期便は、冷凍庫の中で季節を待つ。一回目が届き、食べ終わる頃に二回目が来る。そうして三ヶ月、海の恵みが途切れない。子どもたちも、「今月はどの魚かな」と、箱を開けるのを楽しみにするようになる。
昆布じめ丼の素の定期便は、別の食べ方を提案する。昆布で締めた鯛、サーモン、スズキ。昆布の香りと塩気が、魚の旨味を引き出す。これは、日本海沿岸の古い食べ方だ。江戸時代、日吉津村がマスやサケの産地だった頃、こうした塩漬けや昆布じめは、保存と味わいを両立させる知恵だった。
今、その知恵が丼の素として、現代の家族の食卓に届く。冷凍で、手軽に。でも、その背景には、日本海の漁と、昆布という海の幸を組み合わせた、長い歴史がある。
小さな村だからこそ、隣の米子市の漁港との距離が近い。その近さが、新鮮さを保ったまま、加工品として家に届く。日吉津村の人口が増え続けるのは、子育て支援だけではない。こうした、生活の現実に寄り添った食べ物が、毎日の家族の時間を支えているからではないか。
