秋口、梨が届く家の台所
八頭町は鳥取県の東部、扇ノ山など千メートルを超える山々に囲まれた中山間地だ。三つの町が2005年に合併してできた町で、今も山の斜面に果樹園が段々と続く風景が残っている。そこで育つ二十世紀梨は、この町の秋の顔だ。

梨が届く時期は、家の食卓の季節が切り替わる瞬間だ。夏の冷たい麦茶から、秋の温かい番茶へ。そこに梨を置く。皮を剥く手に、果汁が流れる。芯を取り除いて、白い果肉を食べる。二十世紀梨は甘さより爽やかさが先に来る品種で、食べ終わった後、口の中に清涼感が残る。朝食の後、昼下がりの一皿、夜の冷蔵庫から取り出した一切れ。梨は毎日の食べ方を変えない。ただ、その日その日の気分に応じて、切り方や食べるタイミングが変わるだけだ。
寄付すると、出荷時期を選べる。8月下旬から10月中旬まで、梨の成熟に合わせて何度か出荷される。同じ二十世紀梨でも、早い時期は歯ごたえが残り、遅い時期は蜜が入る。その違いを知ると、梨を待つ季節感が深くなる。
米と、冬の食べ方
この町の米も、同じ山の麓で育つ。きぬむすめという品種で、粒が揃い、炊いた時の香りが穏やかだ。秋から冬にかけて、新米が届く。梨の季節が終わり、米の季節が始まる。

中山間地の水は、山から流れてくる。八東川、私都川といった川が町を流れ、その水が田に引かれる。そこで育つ米は、夏の日差しと秋の冷え込みの両方を受ける。その環境が、米の味わいを作る。
家に届いた米は、冬の朝食の主役になる。温かいご飯に、漬物、味噌汁。梨の季節が終わった後、米がその役割を引き継ぐ。毎日食べるものだからこそ、産地と季節を意識する。八頭町の米を食べることは、この町の秋から冬への移ろいを、自分の食卓で追体験することだ。
返礼品を選ぶ時の視点
寄付額によって、梨の量や米の量が変わる。どちらを選ぶかは、その年の家の食べ方次第だ。梨が好きな家なら、複数回の出荷を選ぶ。米をたくさん食べる家なら、大きな袋を選ぶ。返礼品は、町の産物を家の食べ方に合わせて選ぶ仕組みになっている。
この町には、ワインを作る事業者もいる。八頭ワインは、地元のぶどうを使った赤と白のセットだ。梨や米とは違う季節の楽しみ方ができる。また、先行予約で訳あり梨を選ぶこともできる。形は不揃いでも、味は変わらない。そうした選択肢が、この町の返礼品の中に用意されている。
