紀の川沿いの果樹地帯
私は紀の川市を、果樹の町だと見ている。北に和泉山脈、南に紀伊山地を控え、その間を東西に貫く紀の川。この河川沿いの平野部に、モモ、イチゴ、ハッサク、イチジク、キウイ、カキ——県内一の生産量を誇る果樹たちが育つ。かつての五つの町が合併して紀の川市になった時、それぞれが育ててきた特産物の系譜がそのまま市の顔になった。阪神圏に近い立地も手伝い、観光農園や直売所が多く、農業従事者の割合は県平均の2倍近い。この町は、本気で果樹を生きている。
冬の八朔、家の食卓へ
八朔は、この町を代表する冬の果実だ。旧粉河町を中心に栽培されてきた品種で、1月から3月が出荷期。届いた時点では、まだ酸味が残っているかもしれない。そういう時は、常温で数日置く。皮が少し柔らかくなり、甘みが前に出てくる。

八朔の食べ方は、シンプルだ。皮を剥く。房を一つ取る。そのまま口に入れる。果肉の厚さ、種の少なさ、爽やかな香りが一度に来る。朝食のテーブルに置いておくと、家族が自然と手を伸ばす。皮は厚めだが、剥きやすい。剥いた皮は、風呂に浮かべてもいい。
保存は冷蔵庫の野菜室で。2週間から3週間は持つ。ただし、届いたばかりの時は常温で数日置いて、甘みを引き出してから冷やすのが、この町の食べ方だと思う。
他の季節の果実も
秋から冬にかけては、種なし柿も届く。こちらは9月中旬から11月上旬の出荷。柿は、朝冷えた状態で食べるのが好きだ。冷蔵庫から出したばかりの柿は、シャリシャリとした食感が残る。

冬から春にかけて、みかんも選べる。訳あり品なので、サイズや色にばらつきがあるが、味は変わらない。むしろ、家で食べるなら、そのばらつきが自然だ。毎日一つ、朝食後に食べる習慣がつく。
米も、この町の産業の一部だ。無洗米なので、研ぐ手間がない。朝、炊飯器にセットして、夜に炊き上がる。果樹の町の米は、水が良い。紀の川の水が、米にも果実にも、同じ恵みをもたらしている。