聖徳太子が建立した寺の隣で、新しい仕事が始まった
王寺町の名は、聖徳太子が建立した放光寺に由来するという。町内には達磨寺もあり、太子の精神が「和を以て貴しと為す」という十七条憲法の第一条として今も町のキャッチフレーズに息づいている。そうした歴史の重みのある土地で、私が注目するのは、達磨寺の麓で醸されるワインだ。
奈良県北西部、大阪のベッドタウンとして急速に宅地化が進む王寺町。人口密度は奈良県内で第3位、可住地面積は限られ、農地はほとんど見られない。そんな都市化の中で、ワイン醸造という営みが根付いている。これは単なる返礼品ではなく、この町が古い歴史と新しい営みをどう共存させるかを示す一つの形だと私は見ている。
達磨寺ワイン白は、辛口の白ワイン。12本という数は、晩酌の習慣を持つ家庭なら一ヶ月の相棒になる量だ。届いた箱を開けた時、ラベルに達磨寺の名が刻まれているのを見れば、この町の歴史と現在がボトルの中に詰まっていることに気づく。

食卓に、季節の手当てとして
白ワインは、夏の夜の食卓に自然に着地する。冷やしたグラスに注ぐと、辛口の酸味が、塩辛い惣菜や白身の魚と相性よく響く。一本を開けば、その夜の食事がいつもより少し丁寧になる。12本あれば、友人を招いた時にも、自分たちの晩酌にも、無理なく使い切れる量だ。

王寺町は、JR関西本線・和歌山線、近鉄生駒線・田原本線が交わる交通の要衝だ。大阪への通勤率も高く、多くの人が朝夕の駅を往来する。そうした日常の中で、帰宅後のグラスに注ぐワインは、移動と仕事の時間から、家の時間への切り替えの儀式になる。古い寺の名を冠したワインが、現代の食卓で果たす役割は、決して小さくない。
