山に囲まれた小平野の、冬の仕事
平群町は奈良県の西北部、生駒山地と矢田丘陵に挟まれた山間の小平野だ。竜田川が南流し、古墳が64基散在する。古代豪族・平群氏の本拠地であり、信貴山朝護孫子寺の門前町でもある。そういう歴史の重さがある町で、冬から春にかけて、苺が育つ。
私がこの町を見ているのは、そうした古い地層の上に、現在の農家の手がある風景としてだ。山に囲まれた盆地のような地形は、昼夜の気温差をもたらす。竜田川の水が近い。そうした条件が、冬の苺栽培に向いている。
平群の古都華は、奈良県が育成した品種だ。酸味と甘みのバランスが特徴とされ、冬から初春にかけて出荷される。寄付すると、M~5Lサイズの中から選んで届く。

家の食卓に、どう着地するか
苺が届いたら、まず冷蔵庫の野菜室に。ヘタを取らずに、そのまま保存する。食べる直前に流水で軽く洗い、ヘタを取る。この手順が、苺の香りと水分を守る。

朝食のヨーグルトに。そのまま、かじる。ジャムにするなら、砂糖と一緒に弱火で煮詰める。冬の苺は酸味があるから、砂糖の量は好みで調整できる。瓶に詰めて、春まで持つ。
ケーキに使うなら、大粒を選んで。サイズが選べるのは、そういう使い分けを想定しているのだろう。小ぶりなら、そのままデザートに。中粒なら、タルトやショートケーキの飾りに。大粒なら、断面を見せるように。
冬の苺は、日持ちがいい。常温で数日、冷蔵なら1週間以上。だから、届いてから食べるペースを自分たちのリズムで決められる。急いで消費する必要がない。その余裕が、冬の苺の良さだ。
古い町の、現在の営み
平群町は、古墳と古社の町だ。だが、その土地で今、農家が苺を育てている。信貴山の麓で、竜田川の水を引いて。そうした現在の営みが、返礼品として家に届く。それは、町の歴史と現在が、一つの品に凝縮されているということだ。
冬から春へ、季節が移る。その時間の中で、苺を食べる。そういう当たり前の営みが、実は、この町の風土と農家の手によって支えられている。ふるさと納税は、そうした見えない関係を、一度、目に見える形にする仕組みなのだと思う。
