交通の結節点が、肉を育てた
栗東市は滋賀県南部、名神高速と国道1号・8号が交わる場所だ。この地理的な利便性が、戦後の企業誘致と人口増加を呼び込んだ。だが、その前に、この土地は水田地帯だった。野洲川が流れ、山が面積の半分近くを占める。そうした風土の中で、近江牛は育ってきた。
近江牛は滋賀県を代表する畜産物だが、栗東市はその流通・消費の中心地でもある。寄付で届く近江牛は、単なる「ブランド肉」ではなく、この町の産業と食卓が結びついた形だ。
近江牛A5ロースすき焼き用とサーロインステーキは、その肉質の違いを家で味わう構成になっている。ロースは脂が細かく入り、すき焼きの鍋で火を通すと、その霜降りが徐々に溶ける。一方、サーロインステーキは赤身の旨味が前に出る。同じA5ランクでも、部位で食べ方が変わる。届いた肉を前に、どう調理するか考える時間そのものが、この町の食べ方を学ぶことになる。

晩酌の相手として、酒と器を選ぶ
栗東の食卓には、酒も欠かせない。銘酒「菊の水」は地元の清酒。720mlと180mlの小瓶がセットになっているのは、毎晩の晩酌と、来客時の使い分けを想定した構成だ。冷やして飲むも良し、ぬる燗で近江牛の脂を流すも良し。季節によって、その飲み方は変わる。

そして、もし酒を深く味わいたいなら、プレミアムグラスという選択肢もある。酒を熟成させるという表現は、単なる販売文句ではなく、グラスの形状が香りと温度を整えることで、飲み手の感覚を研ぎ澄ます、という意味だ。毎晩の一杯が、その日の疲れを整理する儀式になる。
食卓に届く、までの距離
栗東市は、かつてたばこ税で財政を支えた時期があった。その後、産業構造の変化に直面し、工場や流通施設の誘致で活力を取り戻した。その過程で、地元の農畜産物も、都市生活者の食卓へ届く仕組みが整った。
近江牛を寄付で受け取ることは、単に「返礼品をもらう」のではなく、この町の産業と食べ手をつなぐ一本の線に、自分も乗ることだ。肉が届き、酒を用意し、器を選び、火を入れる。その一連の手仕事の中で、栗東という町の風土が、家の食卓に着地する。
