二つの川に守られた土地で、何が育つか
羽島市は木曽川と長良川に挟まれた輪中地帯だ。江戸時代、この土地の人たちは何度も洪水と向き合い、堤防を築き、排水路を整備してきた。宝暦治水の時代には薩摩藩の武士たちが治水工事で命を落とし、その後も断続的に普請が繰り返された。つまり、この町の農業は『水と闘う営みの上に成り立っている』という歴史を持つ。
現在、羽島の農業の主役は米だ。ハツシモという岐阜県特有の品種を育てる農家が多く、その米は地元の食卓を支えている。同時に、この地域は古くから繊維産業でも知られ、明治以降は中小の紡績工場で栄えた。だが今、羽島の産業の顔は少しずつ変わっている。
飛騨牛の焼肉用は、そうした転換期の羽島を象徴する返礼品だと私は見ている。飛騨牛そのものは羽島産ではなく、隣接する飛騨地方の産だが、この町を通る名神高速道路や東海道新幹線の岐阜羽島駅は、そうした広域の流通を支える基盤になっている。米の産地から、流通の結節点へ。羽島はそういう町へと変わりつつある。

家の食卓に、どう着地するか
焼肉用の赤身とカルビが小分けで届く。夏の夜、庭やベランダでグリルを出す時、あるいは家族が集まる食卓で、肉を焼く。赤身は脂が少なく、火の通りが早い。カルビは脂の甘さが引き立つ。二つの部位を同時に味わうことで、飛騨牛の肉質の違いが手に取るようにわかる。
A4~A5等級という格付けは、肉の霜降りの細かさを示す。焼くと、その脂が炭火や熱源に落ちて香りが立つ。米どころの町で育った家族が、焼肉の煙に包まれながら、隣県の牛肉を食べる。そういう『地続きの食べ方』が、現代の羽島の食卓には自然に存在している。
保存は冷蔵便で届き、数日以内に食べるのが目安だ。週末の準備として、金曜の夜に冷蔵庫から出して、土曜の夕食に焼く。そういう『家の時間』に組み込みやすい分量と形態になっている。
