三つの川が育てる、甲府盆地の南端
市川三郷町は、甲府盆地の最南端に位置する。笛吹川と釜無川が盆地を流れ、御坂山地から芦川が下ってくる。この三つの川がこの町で合流し、日本三大急流の一つ・富士川となる。水量が豊かで、流れが急で、土地が肥沃だ。
町は2005年に三つの旧町が対等合併してできた。市川大門、三珠、六郷——それぞれが異なる産業を担ってきた。市川大門は花火と和紙の町。六郷は印鑑の町。そして三珠は、果樹の町だ。
秋の食卓に、シャインマスカットの重さ
シャインマスカットが届く季節は、秋。箱を開けると、房ごとに丁寧に詰められたぶどうが見える。粒は大きく、色は黄緑色。種がなく、皮ごと食べられる。

冷蔵庫で冷やして、そのまま食べるのが一番だ。粒をひとつ口に入れると、甘さが広がる。この甘さは、三つの川が運ぶ水と、盆地の日差しが作ったものだ。房全体を食卓に置いて、家族で摘みながら食べる。秋の夜長に、ぶどうの重さを手で感じながら。
同じシャインマスカットでも、やや大きめの房を選べば、来客時の一品になる。白い皿に盛れば、その色合いだけで季節が伝わる。

地酒で、町の三つの顔を知る
地酒の飲み比べセットには、複数の蔵の純米酒が入っている。市川三郷町の地酒は、同じ水——三つの川の水——を仕込み水として使う。蔵によって、米の選び方、麹の作り方、熟成の時間が異なる。
晩酌の時間に、一本ずつ開けてみる。最初の一本は、香りを確かめるように。次の一本は、冷やして。三本目は、ぬる燗で。同じ町の水から生まれた酒でも、飲み手の季節や気分で、その表情は変わる。
秋のぶどうと、秋の地酒。三つの川が合流する町の、食卓での時間。
町の産業を返礼品で知る
この町には、花火、和紙、印鑑といった伝統産業がある。だが寄付者の食卓に届くのは、ぶどうと地酒だ。それは、この町の産業の多様性を示している。同時に、農業と醸造が、この町の暮らしの中心にあることも示している。
返礼品を通じて、町を知る。それは観光ではなく、その町の人たちが日々食べ、飲んでいるものを、自分の食卓に迎え入れることだ。
