竹林が育てる米の話
田上町の東側は新津丘陵の山地、西側は越後平野の水田地帯。この町の顔は、その境界線にある。国道403号と信越本線がこの山と平野の間を走り、人口の大部分がこの沿線に集まっている。そして町内には約17ヘクタールの竹林がある。
竹は、この町の風景の一部だ。その竹をパウダーにして、米作りに活かす。竹米は、そうした試みの返礼品である。竹パウダーを使って栽培された米は、届いた時点で既に、この町の地形と産業が一つになった形をしている。

炊いてみると、白米としての素直さがある。朝の食卓に、昼の弁当に、夜の一杯のおかずとともに。特別な調理を必要としない。むしろ、毎日の食べ方の中で、この米がどう立ち現れるかが大事だ。竹の力が米に何をもたらすのか、それは食べ手の舌と、何度も炊く経験の中でしか分からない。
山と平野が出会う町で
田上町は、新潟市や加茂市に隣接しながらも、独立した町として歩んできた。合併を選ばず、単独でのまちづくりを続けている。その中で、竹林という地元の資源を米作りに組み込む。それは、小さな町が自分たちの風景と産業をどう守り、どう活かすかという問い方でもある。
5キログラムの米は、一人暮らしなら1ヶ月強、家族なら2週間から3週間の食卓を支える量だ。季節が変わり、何度も炊く中で、この米がどんな米なのか、体で覚えていく。それが返礼品の本当の着地点だと私は考えている。
