栗山川が流れる、九十九里平野の中央
横芝光町は、千葉県の東部、九十九里浜に面した町だ。私がこの町を見るとき、まず思うのは水の町だということ。町の中央を流れる栗山川は、九十九里平野最大の河川で、古来より稲作を支えてきた。縄文時代には海だった土地が、弥生時代に陸地へと変わり、そこで稲作が盛んになった。その営みは今も続いている。
大規模な水田地帯が形成されたのは、この地形と水があったからこそ。栗山川の流域に広がる平野は、稲を育てるのに最適な環境を整えてくれた。年平均気温15.2℃、年平均降水量1509.4mm。温暖湿潤気候に恵まれたこの土地で、米作りは産業というより、町そのものの営みになっている。
台所に届く、この町の米
令和7年産コシヒカリ精米5kgは、そうした背景を背負った一袋だ。お米マイスターが厳選したという触れ込みだが、大事なのはそこではなく、この町の水と土がどう米に表れているかだ。

精米5kgは、一人暮らしなら2週間強、二人世帯なら10日前後の量。毎日の食卓に、ちょうど良い単位だ。届いたら、まず米びつに移す前に、一握り手に取ってみてほしい。粒の揃い方、色合い、香りの立ち方。栗山川流域の水で育った米は、粒が透き通るような白さを持つ。炊くときは、水加減をやや少なめにするのがこの米の食べ方。吸水は30分で十分。朝、米を研いで水を注ぎ、夜に炊く。その間に米が水を吸収する時間が、甘味を引き出す。

炊き上がったとき、ふたを開けると湯気とともに立ち上る香りがある。それは、この町の田んぼの香りだ。粒立ちが良く、粘りがある。おかずがなくても、白いご飯だけで食べたくなる米。それが、九十九里平野の中央で育ったコシヒカリの本質だ。
冷めても硬くなりにくいので、おにぎりにしても、お弁当に詰めても、翌日の朝食でも米の質が保たれる。保存は、冷暗所で。夏場なら冷蔵庫の野菜室に置くと、風味が長く続く。5kgなら、そこまで場所も取らない。
古い営みが、今も息づく町
この町は、伊能忠敬が少年・青年期を過ごした場所でもある。後に日本地図を作った彼が、この町の田んぼや川を見ながら育ったと思うと、米作りという営みの重さが感じられる。江戸時代から続く稲作の知恵が、今も水田地帯に刻まれている。
寄付して届く米は、単なる商品ではなく、その町の歴史と風土が一粒一粒に詰まったものだ。台所で炊く時間が、九十九里平野とつながる時間になる。