水と土地が酒を決める
蓮田市は埼玉県東部、大宮台地の一角にある。市内を元荒川と綾瀬川が流れ、見沼代用水も通る。江戸時代、この水路網の整備によって新田開発が盛んになった土地だ。水が豊かで、土が肥えている。そういう場所には、自然と酒蔵が根を張る。
市内に工場を持つ神亀酒造は、そうした風土の中で純米酒を醸してきた。大宮台地の地下水——この土地特有の硬度と清冽さを持つ水が、仕込みの要になる。水が良ければ、米と麹と塩だけで、余計な添加物なしに酒は成立する。純米酒とはそういう潔さだ。

届いた1800ml瓶を晩酌の卓に置く。冷やしても、ぬる燗にしても、この酒は蓮田の地層を飲むことになる。六本セットは、秋から冬、春先まで、季節ごとに温度を変えて付き合う量だ。
醸造地としての蓮田
蓮田の産業を見ると、積水化学や東光高岳といった大手工場が目立つ。だが、この市の本質は農と水にある。梨の産地として知られ、かつての新田開発の歴史が示すように、灌漑と土地改良の技術が深く根付いている。
酒造りもまた、その延長線上にある。米を育て、水を引き、微生物の働きを読む——それは農民の仕事と変わらない。神亀酒造が市内で醸造を続けるのは、この土地の水と米があるからだ。寄付を通じて届く一本は、蓮田という場所そのものを味わう行為になる。
