赤城山麓の水が、焼酎になる
前橋の北に聳える赤城山。その南麓から平野へ向かう地形が、この町の食べ物を決めている。利根川、広瀬川、粕川といった水系が流れ、赤城白川も含めて、山からの清冽な水が町を潤す。私はこの町を『水と高低差の町』と見ている。海抜1800メートルを超える黒檜山から、利根川河川敷の60メートル強まで、市内だけで1700メートル以上の標高差がある。その落差が、農業にも、ものづくりにも、食べ物の味わいにも刻まれている。
赤城の恵 芋焼酎は、その水と土地を最も直接的に表現する返礼品だ。芋焼酎は、原料のさつまいもと、仕込み水の質で決まる。赤城山麓の湧き水で仕込まれた焼酎は、雑味が少なく、後口がすっきりしている。晩酌の時間に、ロックで飲めば、その清涼感が際立つ。あるいは、夏場は炭酸水で割って、氷を入れ、台所の窓から赤城の方角を眺めながら。冬は湯割りにして、夜中の仕事の手を休める時間に。焼酎は『その日の気分と季節で飲み方が変わる』酒だから、家に常備しておくと、食卓の表情が柔らかくなる。

肉と魚と、ビールで食卓を整える
前橋は江戸時代、製糸業で栄えた。明治以降は工場誘致を積極的に進め、戦後も区画整理を推し進めた『ものづくりの町』だ。その勤勉さは、食べ物にも向かっている。

上州牛のサーロインステーキは、群馬県産の牛肉の代表格。250グラム×2枚という分量は、夫婦で、あるいは家族で囲む食卓にちょうどいい。焼き方は単純に。塩をふって、熱したフライパンで両面を焼く。肉汁が落ち着くまで少し休ませて、切る。白いご飯と、漬物があれば、それで十分な夜になる。

ネギトロは、マグロの中落ちを細かく叩いたもの。250グラム×4パックという小分けは、『今夜はネギトロ丼』と決めた時に、解凍してそのまま使える実用性がある。丼飯の上に乗せて、醤油をかけ、わさびを添える。あるいは、酢飯の上に乗せて、手巻き寿司の具にする。家族の人数や気分で、食べ方が選べる。
クラフトビールは、地元の醸造所が手がけた6本セット。ステーキの後の晩酌に、ネギトロ丼の脇に、あるいは夏の夜、仕事から帰った後の一杯に。選べる内容というのは、その時々の気分で、IPAを選んだり、別のスタイルを選んだりできるということ。焼酎とは違う『その場その場の楽しみ』が、ビールにはある。
県庁所在地の、静かな食べ方
前橋は高崎市に次ぐ県内第2位の人口を抱えながら、交通の中心は高崎に譲っている。『行政・文化都市』と呼ばれるこの町の食卓は、派手ではなく、季節と水と土地の恵みを、静かに受け取る形をしている。返礼品として届く焼酎、肉、魚、ビールは、そうした食べ方の中に、自然に着地する。赤城山麓から平野へ向かう地形が育てた、水と食べ物の関係を、家の台所で感じることになる。
