雪国の米は、冬に食べるためにある
只見町の冬は、平地で3メートルを超える積雪になる。日本有数の豪雪地帯だ。この厳しさの中で、奥会津只見産コシヒカリは育つ。

私がこの米を推す理由は、寄付額の大きさではなく、この町の風土そのものが米に刻まれているからだ。只見川と伊南川が流れ、ブナの天然林が400平方キロメートルに及ぶこの地は、ユネスコエコパークに指定された生物圏保護地域。その豊かな水系が、米作りの根幹になっている。
豪雪地帯の米作は、春の雪解け水の豊かさと、夏の昼夜の気温差の大きさが決め手になる。只見の年平均気温は10.3℃。冬は氷点下15℃近くまで下がり、夏でも寒暖差が顕著だ。この気候が、米の粒を引き締め、甘みを凝縮させる。
届いた米を、冬の台所で炊く。白い湯気が立ち上る。粒がしっかり立ち、ほのかな甘さが口に広がる。雪国の家族が、何十年も食べ続けてきた米だ。おかずは質素でいい。塩辛い漬物、味噌汁、焼き魚。米の甘さが、そうした素朴な食卓を支える。
雪解けの水が、焼酎になる
同じ只見の水を使った米焼酎ねっかも、この町の顔だ。只見川沿いには複数のダムがあり、水力発電の基地となっている。その豊かな水資源が、焼酎造りを支えている。

晩酌の時間に、ぬるめのお湯で割って飲む。雪国の夜の静けさの中で、米焼酎の香りが立ち上る。冬の只見で、人々はこうして夜を過ごしてきた。米と水。この町が提供できるのは、そうした素朴で、しかし深い味わいだ。